鋼橋の構造に関し、解析と実験を相互に検証して研究を進める渡辺教授(以下教授) 私たちの研究では、巨大地震から橋梁システムを守るための耐震デバイスに関するダンパーや腐食破損した鋼橋部材の部材性能を回復させるための当て板補強方法、地震時の桁橋損傷を早期に回復するためのジャッキアップ制御手法の開発など、主に鋼橋を対象とした実験および解析的研究に取り組んでいます。学生 安立さん(以下学生) 研究室では近年、道路橋工事用の新形式仮桟橋構造に関する研究に注力しており、私はその分野にて、構造解析ソフトで数値シミュレーションを行い、それらの結果を学内の大型構造実験棟で検証しています。解析と実験を繰り返し、理論と現象をバランスよく観察して研究できることが渡辺研究室の特徴だと思います。ゼミの仲間と学生コンペに挑戦!知識を深め、人間力の向上も実感学生 構造系の研究室を選んだのは鋼橋模型製作コンペティションに参加したことがきっかけです。渡辺研究室は毎年出場しており、学生のみで構成されるチームで議論しあい、知恵を出し合い、時には意見をぶつけ合いながら橋梁模型を製作します。構造解析が得意な者、部材加工が得意な者、力仕事を得意とする者など、一人ひとりの個性と強みを生かしカバーしあいながら活動できたことは人間的にも大きく成長できました。全国の他大学の学生とも交流できる貴重な機会にもなりました。教授 コンペでは材料の特性や加工法などを探求しながら課題解決していくのですが、模型作りを通じて、学生たちに「1人ではできない」ということを知ってもらいたいですね。そこから役割分担やスケジュール調整などの重要性を理解し、プロジェクトを推進する力が育つと考えています。幅広い知識を修得しただけでなく問題解決能力も養われた学生 研究室では、材料力学や鋼構造の基礎から専門性の高い内容まで幅広い知識が身に付きました。それ以上に、問題解決能力が養われたと実感しています。研究で扱う解析モデルは複雑で、順調に計算が完了しないことも多々あります。そんな時、過去のデータや修得した知識を活かして問題解決に前向きに取り組めるようになりました。教授 これからの技術者は、1つのことを多角的な視点を持って考えられる人が求められます。例えば、解析などはやがてAIが担う時代になるかもしれない。しかし、倫理面を含めて、今、何が必要かを考えるのは人が担う部分だと思います。研究を通じて、さまざまな考え方や視点を育んでほしいですね。構造工学?鋼構造学 (渡辺 孝一) 研究室学生 × 教員 インタビュー4年 安立 雄飛岐阜県/大垣南高等学校 出身渡辺 孝一 教授100理工学部 社会基盤デザイン工学科
元のページ ../index.html#101