建築材料の研究に取り組み、近年は3Dプリンターによる建築に注力学生 宮川さん(以下学生) 中学生の頃に建築や工業に興味を持ち始め、工業高校に進学しました。高校までの学びをさらに深めようと建築学科に進学。工業高校で建築の基礎知識は学んでましたが、大学ではなぜそうなるのかといった理論やロジックが加わり、学びが深まるのを実感しています。寺西教授(以下教授) 私の研究室ではコンクリートなど建物材料や建築生産(施工)の研究を行っています。材料の分野は建築の根幹となるため、新しい材料が開発されることで建築のあり方そのものが変革される可能性があります。最近はこうした研究を発展させて、3Dプリンターでの建築の技術開発に注力しており、国内の大学の建築系研究室ではこの分野の研究の先頭を走っています。学生 3Dプリンターでの建築では、建築材料となるモルタルをポンプで押し出しながら形を造っていきます。モルタルが硬いとノズルから押し出せませんし、柔らかいとノズルから出た瞬間に自立できず積層できません。そこで私はこういった相反する性能をマッチングさせたモルタルの調合について研究しています。前例がないからこそ面白い!建築のパラダイムシフトに挑む学生 3Dプリンターでの建築そのものもまだ前例がほとんどないため、参考となる文献が少なく、情報を集めるところは大変ですが、これまでにない新しい材料に携わることはとてもやりがいを感じます。教授 私が3Dプリンターの研究に取り組んでいるのは、建築の世界にパラダイムシフトを引き起こしたいと考えているからです。自由な形状の建物をデジタル情報を基に一品生産で造っていくというような、旧来とは根本的に異なる新しい建築のあり方を模索しています。フィールドワークや共同研究などさまざまな取り組みで社会性も磨かれる教授 軍艦島をはじめとした経年劣化建物の調査や企業?他大学との共同研究、さらにコンクリート関連の学生用コンテストに参加するなど、研究を通じた様々な取り組みを用意しているのも本研究室の特徴です。建築材料の知識は建築に携わる限り、最も基礎となる知識ですので、しっかり学んで将来にいかしてほしいですね。学生 丁寧な資料作成や話し方など、企業と関わった経験があったからこそ「こうした方がいい」と気づいたことがたくさんありました。技術や知識を磨きつつ、社会経験も磨けるのが本研究室の魅力だと思います。建築材料および生産(寺西 浩司)研究室学生 × 教員 インタビュー寺西 浩司 教授4年 宮川 滉士三重県/津工業高等学校 出身108理工学部 建築学科
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