2030?2050年の電力系統を想定して適切な制御や運用技術を研究する学生 伊奈田さん(以下学生) 高校時代にエネルギー関連に興味を持ちはじめ、電気電子が学べる電気電子工学科を選びました。本学科では、回路やパワーエレクトロニクス、エネルギー工学などの電気関係に加えて、通信や制御、情報など、間接的に電気が関わることも学んでいます。益田教授(以下教授) 私たちの暮らしでは長年培われてきた制御?運用技術によって安定的に電力が供給されています。今後は、再生可能エネルギーの大量導入や、蓄電池?電気自動車といった新しいエネルギー機器の普及、デマンドレスポンスと呼ばれる制御リソースなどの登場により、大きな変化が予想されます。研究室では、2030?2050年の電力系統において、需給バランスや適切な潮流状態を維持するための先進的な制御?運用を研究しています。災害時の停電復旧に着目し、配電系統のモデルをもとに、分析、評価を行う学生 私の研究では「地域マイクログリッドを含む配電系統の停電復旧」をテーマに、事故や災害時に起こる停電範囲の低減を目指して、太陽光発電や蓄電池などのプログラミングに関わることを探究しています。教授 電力系統は重要な社会インフラであり、電力供給に支障があってはいけないので、実際の電力系統を使って実験することはできません。当研究室では、主に高速計算機を用いて電力系統解析のモデルやアルゴリズムの設計?開発、シミュレーションによる分析?評価を行っています。高額な実験装置や設備は必要ないため、自分次第で世界トップレベルの研究に取り組めるのが魅力ですね。数学、情報、機械まで幅広く学ぶ電気工学多角的視野を養い、社会の即戦力となる学生 調査のために学会にも参加しました。他大学や企業の研究者による研究報告を拝聴し、電気電子について多角的な視点を持つことができ、研究内容を言語化してわかりやすく伝えることの難しさも知りました。私は卒業後は電力会社に務め、地域インフラに関わります。大学生活では合気道部の主将も務めました。学びとリーダーシップを活かして、地域貢献できる人になりたいです。教授 電力?エネルギーは注目の分野です。しかし、電気工学に関する学問は微積分、複素関数、線形代数なども幅広く学ぶため非常に難しい。その分、やったらやった分だけ能力が向上します。当研究室の研究テーマは社会課題の解決に向けた内容が多いので、「大学でしっかり学び、理系分野の即戦力になりたい」と考える人はぜひ電力?エネルギーを専門分野として選んでほしいと思います。電力系統工学(益田 泰輔)研究室学生 × 教員 インタビュー4年 伊奈田 翔太愛知県/昭和高等学校 出身益田 泰輔 教授078理工学部 電気電子工学科
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