応用化学専攻研究者に不可欠な基礎力を固め、より専門性の高い研究へと導く学生 渡邊さん(以下学生) 応用化学専攻では、最初の3年間に有機化学、無機化学、物理化学といった化学全般の基礎知識を満遍なく学びます。実験実習では試薬の危険性や器具の扱い方などの実験手順も学び、4年次から始まる研究室に備えるカリキュラムが整っています。中村教授(以下教授) 私の研究室では、大気中や水中の有害物質を吸着?除去して、環境問題の解決に貢献する機能性無機材料を、環境負荷の少ない化学プロセスで合成する研究をしています。学生 中村教授の研究室を希望したのは、タイルメーカーのインターンシップ(職業体験)に参加した際、脱臭作用のある多孔状の室内タイルがあることを知り、機能性無機材料の研究に興味を持ったことがきっかけでした。3年次の「応化チャレンジ」で研究室の学びをいち早く体験教授 本専攻では、3年次後期に「応化チャレンジ」という研究室体験プログラムを実施しています。4年生になって卒業研究が始まる前に、3ヶ月ほど研究室で実践的な研究活動を体験できるのです。学生 その機会を利用して、中村教授の研究室で学びました。現在は、シリカ多孔体という無機材料を研究しています。水の浄化に用いられる材料なのですが、さらに効果を高めるために有機官能基を導入するという実験を行っています。吸着性能や形態の変化を観察?検証し、さらに改善を重ねて、より機能性の高い材料を目指しています。実験のアプローチは自由度が高く、ちょっとしたひらめきや工夫を試してみたら、想定外のよい結果を得られることもあり、その偶発性にもよろこびや学びを感じられるのが魅力です。企業で行われているワークを取り入れ研究の実践力を高める教授 研究室では、企業の研究開発の現場に倣って、各自が週報で自身の研究活動を振り返り、次の実験に活かしていく取り組みをしています。学生 こうした習慣があるおかげで、ただ黙々と自分の研究に取り組むのではなく、お互いの研究を知ることを通して、自分の研究に活かせるヒントや学びを得ることができました。在籍中には、理科の教職免許状を取得することもできましたが、さらに研究を深めるべく大学院に進学します。教授 一研究者として、さらに力を磨いて欲しいです。世界が直面している環境?エネルギー問題を解決していくために必要な知識と実践力は、これからの社会に求められる力になると思います。環境材料化学(中村 忠司) 研究室学生 × 教員 インタビュー4年 渡邊 海斗岐阜県/長良高等学校 出身中村 忠司 教授応用化学専攻083
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