内部組織の硬さを極小単位で測定できる「体内硬さ顕微鏡」の開発に関わる学生 石川さん(以下学生) 医療機器に興味を持ったのは、工業高校在学中にさまざまな専門的機器に触れたことがきっかけです。工学の力で間接的に患者さんに貢献できるところに魅力を感じ、医療現場で実際に使われる本格的な医療機器に触れることができるこの研究室を選びました。佐伯教授(以下教授) 死因の6割を占める動脈硬化症や悪性腫瘍、皮膚疾患、アルツハイマーなど多くの疾患は1μmレベルで生体組織の硬さが変化します。そこで研究では、光を使って生体表面下の内部組織の硬さを1μmレベルで断層的に測れる診断技術「体内硬さ顕微鏡(多機能OCT)」を開発しています。学生 私は撮影用カメラと縞格子を投影するプロジェクタ、3次元形状を検出する3Dスキャナの開発を学んでいます。3Dスキャナが開発されれば生体内の狭い空間での術中診断が可能となり、医師に対し、術中ナビゲーションができるようになります。研究発表を通じて社会的スキルを身に付け、企業や医師との共同研究に役立てる学生 学内の中間報告会などで、確実なデータに基づいて伝えるところに難しさを感じています。以前、疑問に思っていたにも関わらず、研究室内にそれを共有しておらず、発表直前に先輩に助けられたことがありました。教授 私たちの研究は医療現場や電気自動車の生産ライン現場での実装化を目指して、医師や企業との共同研究が進められています。ですから、情報の共有や報連相はとても大切なスキルですね。学生 研究室の仲間は、私が行き詰まっていると意見をくれたり、手伝ったりしてくれます。私自身、助け合いの精神を大切にするようになりました。研究のスタートは好奇心正解を生み出し、医療を支える人材に教授 本研究室は、臨床医工学を用いた社会貢献を主な目的としています。治療診断といった最先端医療での活用に加え、アンチエイジング機器などの産業応用にも展開しています。病気の早期発見や健康寿命の延伸など多くの人たちに貢献できることが大きな魅力です。学生 学ぶことが多くて、やる気や忍耐力が求められますが、社会や人に貢献できると思うとモチベーションが上がります。教授 社会では正解がわからない課題に取り組むことばかりです。幼い頃のように「なんでだろう?」と物事に関心や疑問を感じる心を持って入学してください。そして、一緒に考え、正解を創造して、医療への貢献にアプローチできる知識と技術を培っていきましょう。バイオメディカル診断情報工学 (佐伯 壮一) 研究室学生 × 教員 インタビュー4年 石川 瑠唯三重県/四日市工業高等学校 出身佐伯 壮一 教授096理工学部 メカトロニクス工学科
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