2025/03/28
大学院理工学研究科 電気?情報?材料?物質工学専攻 博士課程 2年 山本智支さん
医師として多忙な毎日を送りながら、AI技術を学ぶため、名城大学大学院への進学を決意した山本智支さん。医学とはまったく違う分野の学問に足を踏み入れた理由とは……?
医師であり、大学院生でもある異色の立場として一年が経過した今、感じていることや今後の展望を伺いました。
A
2020年に医師としてアメリカに留学し、CT画像からAI(人工知能)による診断を行う研究に携わりました。臨床データをAI技術者に提供し、解析結果を受け取るのですが、どんな過程を経て結果が出るのかは未知の世界で、ブラックボックスのように感じていました。
帰国後、縁あってAIによる医用画像解析の専門家である寺本篤司教授と共同研究を行うことになったのですが、「どのようにAIが解析?診断するのか」を自分自身が知らないことに、この時もモヤモヤしてしまって。医師として研究に参加しているので、AI技術の知識はなくても問題ないのですが、自分が理解していないことを発表したり、研究成果にしたりすることが、ひっかかるというか……。そこで、AI技術を学び、自分で使いこなせるようになりたいと考えるようになりました。
A
私は臨床医として毎日患者さんと向き合っており、その仕事は何よりも大切です。ただ、臨床医としての仕事以外に、研究、教育、学会参加など多くのタスクを抱えており、それらの業務にも時間を割いています。共同研究として携わっていた当時、日々の業務に追われ、研究の進捗が遅れがちでした。
そのような状況の中、「これでは埒(らち)があかない。もっと本腰を入れて研究したい」という思いが強くなり、寺本教授が教えている名城大学の大学院で本格的に学ぶことを決めました。ある意味、自分を追い込むために進学を決めた部分も少なからずあったと思います。
A
実は、大学院への進学をすぐに決断できたわけではなく、学ぶ時間が取れるのか、医師としての仕事に支障は出ないのか、と一年ほど迷った末、覚悟を決めたというのが実情です。ありがたいことに勤務先の病院は、医師としての仕事を続けながら大学院で勉強することを快諾してくれました。家族も「やりたいなら、どうぞがんばって」という感じで。まあ、あまり興味がなかったのかもしれませんが(笑)、応援してくれていますね。大学院で学べるのは、周りの人々の理解とサポートがあってのことだと感謝しています。
A
いかに仕事と学業を両立させるかということは大きな悩みで、今でも苦労しているところです。医師として月曜日から土曜日は病院で治療にあたっており、急患が発生したらどんな時間帯でも最優先で対応します。夕方までは病院での仕事があるため、大学院の課題のほか、医師としての研究、論文執筆などにあてられるのは、夕方以降の限られた時間。しかし、同時にいくつものタスクをこなすことができるほど、私は器用な人間ではないんですよね。なので、「今日は大学院の課題」「今日は医師としての研究」と、一日ごとに取り組むものを決めるようになりました。頭が切り替わり集中できるので、自分には合っている方法だと思います。
A
まず、教授陣が充実していることが大きな魅力ですね。どの先生もとても面倒見が良く、フレンドリーな印象です。学生に真摯に向き合ってくださる様子を見るたびに、学ぶ人にとって恵まれた環境だなと思います。
そして、同じ教室の学生が研究に励んでいる姿は、「成長」という言葉から離れていた自分にとって良い刺激になっています。一年目は在宅で研究することが多かったのですが、これからは研究室に通う機会が増えるので、交流や意見交換ができることも楽しみです。
A
学生時代から数えて約26年間、ずっと医学の道を歩んできた私にとって、理工学は何もかも別世界。資料を読むにしても、小学生が難しい本を読むみたいな感じです。わからない単語を調べると新しく知らない単語が出てくる、さらに調べるとまたまた知らない言葉が出てくる、といったことの繰り返し。でも、知識を得られることが本当におもしろく、夢中になっているところです。なによりこの歳になって、新しいことに挑戦できるということ自体、幸せなことだと感じます。
A
自分で臨床データの抽出からAI診断まで一貫して行えるようになることが一番の目標です。AI技術者に任せていた部分を自分でできれば、もしかしたら新しい発見や気付きがあるかもしれません。さらに今までは医師としてデータ抽出をしていたのが、技術を学ぶことによって「AI解析?診断のために何が重要か」という2つめの視点が加わりますよね。すると抽出するデータも変わってくるかもしれない。医師としての経験に技術者としての知見が加わるので、より精度を上げたり、対応の幅を広げたりということが可能になるのでは、と期待しています。
そして、卒業後は自分の研究分野だけでなく、病院の研究者の後進育成にも学んだ技術を生かしたいと思っています。それが、もう一つの目標ですね。
香川県出身。藤田医科大学ばんたね病院 消化器内科で膵臓?胆道を専門とする医師。好きな言葉は、医学生時代に先輩がよく口にしていた「一歩を踏み出そう」。趣味のキャンプにはなかなか出かけられない毎日だが、少しでも家族と時間が合えばデイキャンプでバーベキューをすることが良い気分転換なのだとか。
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