総合学術研究科 修了生による近況レポート（2）

東京医療保健大学教授として参加したスタンフォード大学での研修風景（2011年）

私の専門分野は「看護学」です。名古屋医療センターに入職し、看護師として5年間の経験の後、脳外科、心臓血管外科病棟で看護師長として仕事をしていましたが、現場での貴重な経験を私なりに振り返り整理してみたい、その結果として新しい看護のアプローチを生み出してみたいと思うようになりました。そこで名城大学教授の馬場俊彦先生にお世話になり、総合学術研究科で学ぶことになりました。当時は博士課程で学ぶということの重大さをあまり認識しないままでしたので、研究科の先生方には大変にご苦労をおかけしたと（今になって）赤面しつつ、温かいご指導を受けられたことに感謝しています。研究科修了後、四日市看護医療大学では准教授として基礎看護学を、その後東京医療保健大学では、教授の立場で成人看護学急性期、老年看護学領域および大学院修士課程の教育を専門としました。東京医療保健大学は当時（2010年）「急性期分野での特定医療行為を看護者として専門的に実践するための大学院修士課程」を全国初の取り組みとして新設し、注目をあびていました。急性期分野でNP（Nurse　Practitioner）としての専門家を育成するためにStanford大学での研修、ハワイ大学との連携、学部?大学院教育等の役割を与えていただき、当時はハードでしたがこのような経験ができたことを感謝しています。私の地元は名古屋ですので、その後名古屋学芸大学にお世話になり、現在に至ります。名古屋学芸大学はヒューマンケア学部、管理栄養学部、メディア造形学部等からなる総合大学で、名古屋外国語大学と姉妹校です。当初はヒューマンケア学部の教授として赴任しましたが、主な目的は「看護学部」を新設することでした。そのため、３年間は設置準備室の仕事を兼任しました。準備室ではカリキュラムの作成、学部運営のための様々な準備や根回し、教員人事等々、他ではできないような貴重な経験をさせていただきました。2018年看護学部開設と同時に、看護学部学科長、中央図書館長、成人看護学教授を務めました。そして学芸大学のヒューマンケア学部養護教諭コースでは小児?母性看護学分野の看護を学生とともに学びました。

看護学は、人間の「成長?発達過程」をベースに構成されています。「人は生涯成長?発達する」ことを前提に「母性?小児?成人?老年期」を柱に「急性期（超急性期を含む）?慢性期?終末期」のステージを組み込んでカリキュラムが成立します。また活動の場も病院、保健施設、地域、行政、教育機関等々大きな広がりをもっています。

看護学部の教員として、超特急で走り抜けていた時期は急性期の看護学を専門的に極めていきたいと思っていました。しかし、看護学のすべての分野にかかわるという経験を経て今、看護を幅広く総合的にとらえることの意味と重みがわかるようになりました。また、自身の経験は、名城大学総合学術研究科で学んだことがベースになっているということにも思いが至るようになり、毎年行われる総合コアプログラムを楽しみにしています。今までの私自身の経験の一部をお伝えすることで、研究科で学んでいらっしゃる皆さん、またこれから学ぼうとされている皆さんに熱いエールを送りたいとこの原稿を書かせていただいています。

現在私は「なごや口腔ケア研究会」として一般の人々を対象とした研究会（ゼミナール）を設立するための準備をしています。看護師、介護福祉士、福祉関係の専門家等が知識や経験に基づいた様々な意見を出し合いながら、一般の人たちとともに「役に立つ楽しい研究会」を進められることを目指しています。「口腔ケア」はアンチエイジングの主要な内容として次々と新たなエビデンスが生まれ、日々進化しています。この機会に興味をお持ちの方はぜひこの研究会にお越しください。

「なごや口腔ケア研究会」へのアクセスは　carelife.Nagoya@gmail.comです。