トップページ/受賞 農学研究科の加藤大志さんが第1回 糸状菌遺伝子研究会若手研究者賞を受賞
受賞者 |
加藤大志さん (農学研究科農学専攻博士課程3年、加藤雅士教授?志水元亨准教授研究室) |
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受賞名 |
第1回 糸状菌遺伝子研究会若手研究者賞 |
受賞日 |
2025年6月20日 |
受賞テーマ |
白色腐朽担子菌Phanerochaete chrysosporiumのリグニン断片変換機構の解明 |
糸状菌遺伝子研究会は、日本の糸状菌(カビやキノコを含む)に関する遺伝子レベルの研究発展を目的として設立された研究会です。今回、加藤さんが受賞した「若手研究者賞」は、博士後期課程の学生を対象とし、進学者へのインセンティブとキャリア形成の支援を目的として今年度新設されました。 加藤さんは、木材中の難分解成性の高分子化合物であるリグニンを分解できる白色腐朽担子菌に着目しました。この菌は、細胞外に分泌する酵素によってリグニンを断片化することが知られていましたが、その後細胞内に取り込まれた断片がどのように変換され、菌の栄養になっていくかについては、長年の謎でした。そこで加藤さんは、白色腐朽菌がリグニンの断片を食べた時に細胞内で生じる酵素群の働きを丹念に調べました。その結果、従来知られていた酵素に加えて、新たなリグニン断片変換酵素をいくつも見つけ、それらの酵素の役割を解明しました。これにより、菌体内でリグニン断片がどう変換されているか、その仕組みがより明確になりました。 リグニン断片の変換は、これまで主に細菌を対象に研究されてきましたが、加藤さんの研究では、地球上の炭素循環において重要な役割を果たしている白色腐朽菌が独自に持つリグニン断片変換機構が明らかとなり、従来の常識とされてきたリグニン分解の理解が大きくアップデートされました。まさに教科書を書き換えるような新たな知見が得られたといえます。 |