育て達人第002回 木下 栄蔵
都市情報学部の新カリキュラム 「サービスサイエンス」に新入生さっそく反応
都市情報学部 木下 栄蔵 学部長
都市情報学部は今年度から、「サービスサイエンス」をキーワードに新カリキュラムをスタートさせました。「サービスマインドを身につけた行政の達人を送り出したい」と語る木下栄蔵学部長に、新カリキュラムの狙いを中心に語ってもらいました。
――都市情報学部が「サービスサイエンス」を掲げた狙いを教えてください。
新たな都市情報学部の役割について語る木下学部長
先進国ではサービス産業が経済活動の主流となっています。民間に比べて行政はまだまだサービスの意識が希薄で、お上の意識が強い。サービスの根源はおもてなしの心。行政は住民に対し、「おもてなしをするんだ」という意識をもっと持つべきです。都市情報学部は、都市問題の解決を目指して13年前に開設されましたが、今こそ、学部をあげて、行政サービスの大切さをキャンペーンしていかなければと考え、科学的な視点からサービスについて学ぶ「サービスサイエンス」をカリキュラムの柱に据えました。
――カリキュラムの特徴を教えてください。
アナリスト(分析者)とプランナー(計画者)の2コース設けます。アナリストは分析とか評価をする際には数学の手法が必要なので理系コース、プランナーは文系コースです。1、2年でしっかり基礎教育を受けてもらったうえで、3年次から各コースを選択してもらいます。大学院の都市情報学研究科でもサービスサイエンスの視点から、新たな人材養成に取り組みます。
――新カリキュラムに対する学生や教職員の反応はどうですか。
私も何度も高校に足を運び、サービスサイエンスについて説明して回りました。おかげで、前年度に比べ、都市情報学部の志願者は大幅に増えました。その新1年生の男子学生が、乗り合わせたスクールバス内で私に話しかけてくれました。この1年生は卒業後、地方行政の仕事がしたくて都市情報学部を選んだそうです。「これからは道州制度など、新しい行政サービスの時代。サービスサイエンスをしっかり学んで、仕事に役立てたいと思います」という力強い新入生の言葉に、うれしい手ごたえを感じました。
――都市情報学部は美濃加茂市と地域連携協定を結びました。 今後、地域の自治体に対してもサービスサイエンスを通して協力できる点が出てくるのでは。
いろんなことが考えられます。4月24日には岐阜県庁から2人、美濃加茂市から4人、可児市から3人のほかNPO関係者ら計13人の学外参加者と本学部教職員や院生による第1回サービスサイエンス研究会を開きました。これからも公開講座や研究会、さらに高校を対象にした説明会などでサービスサイエンスをアピールして行きたいと思います。
――学生たちに期待する点は。
サービスサイエンスを学んだ行政マンが続々と誕生し、第一戦で活躍することを期待しています。名城大出身の社長数は、中部地区の私大ではトップというデータもありますが、都市情報学部の1期生はまだ32歳。社長になる年齢には時間が必要かもしれませんが、もう10年もしたら、社長や行政の達人たちが続々誕生しているかもしれません。
――木下先生は専門の数理解析によるシミュレーションで、プロ野球ペナントの行方をズバリ予測し、新聞にもよく登場されています。今年のセ?リーグはやはり阪神ですか。
もちろんです。私は45年間、阪神ファン。今年は打撃力、投手力のデータ上からも、優勝は間違いありません。9月上旬には決まりますよ。日本シリーズでも、西武が出て来ようとロッテが出てこようと文句なしに阪神が優勝します。
木下 栄蔵(きのした?えいぞう)
京都市出身。京都大学大学院工学研究科修士課程修了。工学博士。 専門は数理計画学。著書に「孫子の兵法の数学モデル」など。土木学会員、日本オペレーションズリサーチ学会員。今年3月、第33回同学会普及賞を受賞。2005年4月から都市情報学部長、大学院都市情報学研究科長。58歳。