育て達人第147回 服部 友一
アットホームな雰囲気で社会に出て役立つ教育?研究に注力
理工学部 材料機能工学科 服部友一 教授(生体材料?医療工学)
赤﨑勇終身教授?特別栄誉教授が名付け親の材料機能工学科にはエレクトロニクス系、機械材料?加工系、応用物理系の3分野の専門家がそろっています。服部教授は「それぞれが好敵手で三権分立の組織」と評します。機械材料系?加工系分野の一角を担う研究室では、アットホームな雰囲気の中で社会に出て役立つ教育がなされています。
材料機能工学科の魅力からお聞かせください。
研究実験棟Ⅱの研究室でパソコンに向かう服部教授
技術の根幹である素材について学び、応用範囲が広いこと、また最先端の技術が身近にあることです。教員の個性が多彩で、異なる分野の専門家が融合し、熱意をもって教育と研究にあたっています。多様な価値観、異なった考え方、強いこだわりを持った、半面いささか厄介な教員たちが、連帯意識をもって公平公正な議論により学科を運営し、最良の教育?研究を目指しています。ただし、みんなおしゃべりで黙っていないので、学科会議が長くなる。
本学ウェブサイトの「教員の声」で「臨床のわかる技術者」という言葉を使っていますが、教育?研究のモットーは何ですか。
世界的に見て、生体工学、医療工学の分野では、技術者が臨床を理解していることは当たり前ですが、日本では、医学と工学の垣根が高く、臨床のわかる技術者はほとんどいません。私は工学分野で生まれ、医学分野で育ち、後進の育成のために工学分野に戻ってきたので、「臨床のわかる技術者」、「患者さんの苦痛を理解し、少しでも医学の発展に寄与すること」を目標にしています。また学科での教育においては、「製造現場がわかる技術者」、「作る人の気持ち、使う人の気持ちがわかる技術者」の育成に力を入れています。
垣根を挟んで双方を自由に行き来する技術者のイメージがわきます。
通訳みたいなものです。例えば英語の通訳者は、日本と英語圏の両方の文化がわからないといけないでしょう。臨床がわかる技術者であるからこそ、医師と対等に話ができるのです。私はそれをイギリス留学で学びました。
研究室には学生と一緒に撮られた写真がたくさん飾ってあります。研究室のアピールポイントは。
2015年の研究室忘年会
いっぱいあります。研究室のイベントを通じて、社会性を身に付ける。皆で楽しく遊べない人に、良い仕事は出来ない。私自身が、行儀作法や所作に口うるさいこともあります。臨床医学では「病気を見て、患者を見ていない」とよく指摘されます。学生の個性を尊重し、能力や適性を生かす指導を心がけています。卒業生がよく遊びにくることも特色です。
学生に望むことを挙げてください。
あきらめない、自ら限界を定めない。感謝と思いやりの気持ちを忘れない。「ほうれん草と角煮(報告?連絡?相談?確認)」を徹底する。「面倒臭い」を言わない。そんなふうにいろいろあります。
「ほうれん草と角煮」は頭に残ります。
職場の新人教育のような意味合いが強いと思います。
「リケジョ」のためのキャリアアップセミナーを開いていますね。
2015年度、理工学部女子学生支援委員会が発足し、初代の委員長に就任しています。オープンキャンパスの催しとして、女子高校生と父母を対象とし、在校する女子学生に、所属する学科の魅力、学び、就職などについて先輩として説明してもらっています。また在校生を対象とし、社会で活躍するOGを講師とするキャリアアップセミナーを開催し、2016年度はリクルートフォトセミナーと称して、写真スタジオからメイクさんとカメラマンを招き、実際にメイクアップをしてもらいながら、お化粧のアドバイスを受け、履歴書添付用の写真撮影を行いました。
應援團の部長も務めていますが。
應援團はリーダー部、チアリーディング部、吹奏楽部の3部で構成されています。大学催事や体育会公式戦、女子駅伝の応援を行っています。2015年度より準強化クラブの指定を受け、特にチアリーディング部は部員数、パフォーマンスともに劇的に向上し、全国大会に出場するほどになりました。吹奏学部は応援活動の他、大学祭や福祉施設での演奏、定期演奏会を行っています。リーダー部は部員が少なく、苦労しています。昨秋、應援團の團長にチアリーディング部の女子学生が就任しました。
趣味、座右の銘は。
三河湾でのクルーズ=2015年8月
趣味はモーターボート(1級小型船舶操縦免許)、旅行、アウトドア、ドライブ、カメラです。学生を乗せて三河湾にクルーズに出ます。 座右の銘は「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」。江戸時代の米沢藩(山形県)藩主、上杉鷹山(うえすぎ?ようざん)の言葉です。
抱いている夢をお聞かせください。
お金と暇ができたら海外旅行して、留学時代のヨーロッパにいる旧友に会うことです。 宝くじの高額当せんで、研究機材と28フィート(8.4m)くらいのモーターボートを購入する夢もあります。
最後に、特に強調したいことを話してください。
恩は返さなくていいから、順送りしてください! 大学の恩師、職場の上司から、たくさんの支援を受けて今の私があります。いつのまにか私も大学教員として学生を指導する立場となりましたが、恩師?上司への恩返しに換えて、次の世代に最大限の支援をするようしています。
骨の模型や人工関節を手に学生と歓談する服部教授=研究実験棟Ⅱで
服部 友一(はっとり?ともかず)
名古屋市出身。1980年、名城大学理工学部機械工学科卒業。愛知医科大学医学部整形外科学講座助手、同講師を経て2002年、名城大学理工学部材料機能工学科助教授、2008年、同学科教授。2008~2013年度、材料機能工学科学科長?専攻主任を務めた。2015年4月から、女子学生支援委員会委員長、應援團部長。博士(工学)。人工骨?人工関節や骨折固定器など生体材料の研究開発、動物実験による生体親和性の評価を行っている。