大学概要【2019年度実施分】実習?体験を基盤としたHACCP教育の充実による能動学修の推進

農学部

実習?体験を基盤としたHACCP教育の充実による能動学修の推進
実施責任者:林 利哉

MS-26で掲げている価値観、“多様な経験”、“学びを楽しむ”の実現において、実習?体験教育は極めて有効である。中でも食品加工実習は、附属農場内に新設された食品加工施設を利用して製造の理論と実際を習得させ、これに民間工場の見学を組み合わせた実践的プログラムである。自らの手で“実物”をつくりあげることだけにとどまらず、食品衛生法の施設基準に則った施設にて、危害となる要因を予め予測させ、重点的に管理すべき工程を提案させる方式(HACCP方式)を本実習に導入するとともに、先端的食品安全マネージメントシステムであるFSSCを学ぶ機会も設ける。身近な題材をベースとした実践教育の場で食の安全?安心を実行?熟考させる実体験型能動学習推進プログラムである。

ACTIVITY

食品安全?衛生学(講義:3年次必修)におけるアンケート調査

2020/01/07

 応用生物化学科 3年次必修科目である食品安全?衛生学にて、食品衛生にかかわる基礎知識を問うアンケートを実施した。当該学年の学生のおよそ半数が昨年度に食品加工実習を受講しており、その受講の有無による食品衛生関連基礎知識の定着具合を比較することを目的とした。その結果、食品加工実習を受講することは、関連基礎知識の定着に寄与している傾向が伺えた。学年間の比較も含めた詳細な調査、解析を引き続き行う予定である。

食品加工実習(8、9月)

2020/01/07

 本学農学部応用生物化学科2年生のおよそ半数(約50名)に対して、食の安全?安心に関する事前講義を1コマ、工場見学(養命酒製造株式会社)を1日、3日間の畜肉加工、2日間の醸造実習を行った。畜肉加工実習では、豚もも肉の塊(約10 kg)やロース肉(約4kg)を主原料に、フランクフルトタイプのソーセージ、プレスハム、ロースハム等の加熱食肉製品を製造した。醸造実習では、大豆、麹を用いて味噌製造を行った。受講生にとっては、教室で学ぶ理論と、実際に手を動かすことで得られる体験とが有機的にリンクする貴重な機会になったと同時に、食品製造工程における安全確保、配慮の大変さと大切さも同時に体感できたのではないかと思われる。

【ハム?ソーセージ製造の様子】

食肉製品製造演習

2020/01/07

 10月から11月にかけて、応用生物化学科 食品機能学研究室3、4年生約10名(一部大学院院生も含む)に対して、非加熱食肉製品の製造演習を行った。本学附属農場の食品加工施設を利用して小規模ながら伝統的製法を実践し、原料肉の処理にはじまり、塩漬、整形、乾燥、燻煙、包装、そして製品の最終チェックまで行った。また、学生?院生の発案により、スモークチキンも試作し、官能評価も行った。
 食品製造、もしくは衛生学関連の授業の中で、2年次の食品加工実習受講者と非受講者における食の安全?安心に関わる基礎知識の比較を行った結果、受講者と非受講者間で有意な差、すなわち受講者の方が、知識の定着、意識ともに高いことが伺えた。このことは、食品加工実習受講者の食への関心がそもそも高いことに起因する可能性も考えられるが、毎年同じような傾向があることは間違いなく、再現性良く、事業の効果があらわれていることを示唆するものである。

食の安全?安心に関するワークショップ

2020/01/15

NPO法人 食品安全ネットワークとのコラボによる食品安全マネージメントシステムを題材としたワークショップを開催した。PCO微生物制御研究会(米虫節夫会長)の理事を務め、本学非常勤講師(食品?環境関連法規)でもある奥田貢司氏のサポートを受け、本学天白キャンパス 共通講義棟北(N107 )にて実施した。「HACCPの原典を知る」学びの場という位置づけで3名の識者が話題提供を行い、本学応用生物化学科当該学生らの受講とともに一般聴講も可能な公開講座とし、食品メーカーの関係者なども聴講した。講演後には意見交換が行われ、学生からは「食品メーカーの違反事例では問題の真相が理解できた」、「HACCPの歴史や発展の経緯は大変興味深かった」、「HACCPと一般衛生管理の関係が理解できた」などの感想が寄せられた。

  • 情報工学部始動
  • 社会連携センターPLAT
  • MS-26 学びのコミュニティ