大学概要【2018年度実施分】医療系学生におけるチーム基盤型教育の実践プロジェクト

薬学部

医療系学生におけるチーム基盤型教育の実践プロジェクト
実施責任者:亀井 浩行

学生が主体となって、地域の医療系大学との連携によるプロジェクトベースの教育プログラムを実践します。地域医療で抱えている課題を学生に提示し、多種の学部?学科の医療系学生が垣根を越え、グループワークを介して「学びのコミュニティ」を構築することを目的とし、本学を含む各大学教員が協働して、地域に密着したテーマを抽出?提案し、これを受けて各医療系学生が混成の小数グループを編成し、協働で問題解決に向けたグループ討議?発表を計3日間で行います。今回のテーマは、昨年度に引き続き社会的な重要課題である「認知症」です。

ACTIVITY

藤田保健衛生大学での多職種連携教育の第1日目が行われました!

2018/06/13

昨年度に引き続き藤田保健衛生大学での多職種連携教育の一環として、「アセンブリⅢ2018~認知症の方とその家族がともに幸せになるためには~」の第1日目(6月6日)が行われました。昨年度までは本学の薬学部5年生20名程度が「カルテを読む」の講義の一環として参加しましたが、本年度より、4年次必須講義科目である「薬物治療マネジメント」において、4年生全員(246名)が参加?実践するカリキュラムへと組み込まれました。これにより、参加学生は全体として859名となり、その内訳は、藤田保健衛生大学医学部3年生114名、医療科学部3?4年生445名(看護学科、リハビリテーション学科、臨床検査学科、放射線学科、臨床工学科、医療経営情報学科)、日本福祉大学社会福祉学部3?4年生32名、愛知学院大学歯学部6年生22名、名城大学薬学部4年生246名であり、計144チームが7教室で分かれて行う国際的にも類のない大規模な多職種連携教育のプログラムとなりました。主催者である藤田保健衛生大学の教職員の皆様方におかれましては多大なご尽力に深謝申し上げます。本学の教職員も平松薬学部長をはじめ16名が本プログラムの運営に携わりました。プログラムはまず、薬学部にてオリエンテーション終了後、246名が6台の貸し切りバスに分乗し、豊明市の藤田保健衛生大学に向かいました。到着後、各教室に分かれ、それぞれ1または2名が多職種の混成チーム(5~6名で1チーム)に入りました。アイスブレイク後、各自予習してきた内容の確認課題を解き、その後、確認課題をチームで解く作業(TBL:チーム基盤型学習)を行い、その後、チーム討論?発表を行いました。チーム討論の課題として、認知症の方の模擬事例を題材に「もしあなたが当事者の孫ならどうしますか?」について、各自が思案した内容の中から意見を出し合い、次にこの意見を反映させ、当事者として自分自身の問題と置き換えた課題として「もし70歳のあなたが認知症と診断を受けたらどうしますか?」、「もしあなたが認知症になったら主に誰にサポートをして欲しいですか?」について、各チームで話し合い、発表し合い、1日目は終了となりました。学生の多くは、もし認知症になったら、できるだけ家族に迷惑をかけず施設で面倒みてもらいたいとの意見を述べていました。次回(第2日目)は、「20年後あなたの家族(親)が認知症になったら、どうしますか?」などの課題に向けて各チームが討論?発表を行います。参加した薬学生からは、「いろんな学生と打ち解けて話ができ、とても新鮮で楽しむことができた」、「いろいろな視点での意見があり気づかされることが多かった」などの感想が聞かれ、「次回のアセンブリが楽しみ」と意欲的な表情を浮かべていました。

出発前に行われた薬学部でのガイダンスの様子

6台のバスに乗り込みいざ出発へ

アイスブレイクで互いに自己紹介する学生達

グループ討議を行う学生達

グループ発表で積極的に発言する薬学生

多職種連携教育の2日目が行われました!

2018/06/19

藤田保健衛生大学での多職種連携教育の一環として、「アセンブリⅢ2018~認知症の方とその家族がともに幸せになるためには~」の2日目(6月15日)が行われました。今回は、1日目に各グループで話し合ったテーマをもとに、応用課題「20年後あなたの家族(親)が認知症になったら、どうしますか?」の課題に取り組みました。最も多かった意見は、「日中は公的サービスを利用し、夜間や休日は介護する。必要に応じて介護休暇制度を活用する」であり、認知症の症状に応じて施設を利用する意見も多く聞かれました。また、「介護で最も強く感じる苦労は何でしょうか。またそれを軽減するためにどのように環境を整えたら良いか。」の課題では、「精神的な負担」が最も多く、「当事者にとって何が良いかを状況に合わせて家族で十分話し合い、介護を分担していくのが良いのでは」などとの意見が聞かれました。次回は最終日となりますが、1日目にグループ討議をした認知症の方の模擬事例に戻り、「当事者と家族がともに幸せになるためには,当事者を自宅に引き取りますか,それとも施設に預けますか?」のグループ間討論(ディベート)を行う予定です。学生たちはディベートに向けてそれぞれ準備して、最終日を迎えます。今回参加した薬学生からは、1日目と異なり緊張感もほぐれ、「いろいろな専門職の学生さんからとディスカッションできて有意義であった」、「いろいろな意見の中で気づかされることが多いと感じた」との声が聞かれ、「もう次回が最後と思うと寂しくなる」と惜しむ学生もみられました。

応用課題に取り組む参加学生たち

グループ討議で他学部の学生と討議を行う薬学生達

多職種連携教育の3日目(最終日)が行われました!

2018/06/25

 藤田保健衛生大学での多職種連携教育の一環として、「アセンブリⅢ2018~認知症の方とその家族がともに幸せになるためには~」の最終日3日目(6月22日)が行われました。2日目に模擬事例としてグループ討議された認知症の高齢者の方を「自宅で介護していくか」、それとも「施設に預けるか」についてそれぞれ選択したグループが互いの意見を発表し合いました。各グループとも調べてきた情報を盛り込みながら、中期と長期に分けて介護支援体制を選択する意見や「地域密着型サービス」の小規模多機能型居宅介護を利用し、随時、訪問や泊まりを組み合わせてサービスを利用することで自宅での介護を可能にできるといったより専門的な意見が聞かれました。最後の課題である「保健医療福祉の専門職として認知症やそのご家族にどのようなことができますか?」においては、今回参加した4大学11学部?学科の学生たちがそれぞれ、各分野での専門職としての立場で、現在、さらには将来を見通した支援のあり方についてしっかりとした意見を述べていたのが印象的でした。本学の薬学生は薬の専門家として、認知症の方が服用しやすい工夫として、錠剤の粉砕や一包化、また、お薬カレンダーを用いた服薬管理などを提案し、グループ内の他学生から感心される場面も見受けられました。

 今回、総勢859名の学生が144チームに分かれ、今後の日本の最重要課題のひとつである認知症について取り組みました。本プログラムの学生目標として掲げられた、「将来の専門職連携?協働を目指して、多分野の学生間で討議できる」こと、「患者中心の視点を持ち、地域の一員として、認知症の方とそのご家族のために何ができるかを思考し、提案できる」ことが達成できたものと思われます。各分野の学生たちが真剣に意見を出し合い、非常に有益な成果をあげることができたと強く感じました。また、今回、本学からは14名の教員が本プログラムの運営に携わり、教員間の単なる交流ではなく、共に創り上げる教育をお互いの立場で学ぶことができ、教員にとっても非常に有意義な3日間となりました。

 今後、今回参加した859名もの医療-介護?福祉の専門分野の学生たちがそれぞれの専門職に就いた時、この学科の枠を超えたチームが協働して医療に貢献されることを切望します。最後になりましたが、今回、名城大学から薬学生4年生全員が一人の欠格者もなく、藤田保健衛生大学での多職種連携教育(アセンブルⅢ)に参加できましたこと、また、このような機会を与えていただきました大槻アセンブリセンター長、角川副センター長をはじめ多大なご尽力いただきました藤田保健衛生大学の教職員の皆様方に心より感謝申し上げたいと思います。

最終日のグループ討議に真剣に取り組む学生たち

積極的にグループを代表して発表する薬学生

他大学との教員間で討議を行っている様子

ピア評価(学生間評価)を行っている様子

最終日のすべてのプログラムを終え、写真におさまる学生たち

終了後、名残り惜しむ学生たち

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