大学概要【2022年度実施分】他施設協働による段階的な多職種連携教育の実践
薬学部
本取組では、チーム医療で活躍できる薬剤師の育成を目標として、1年次から体系的かつ、段階的に目標を設定し、薬学生が他大学の医療系学部(他職種)の学生と共に「チーム医療」を学びます。すなわち、低学年では「多職種の役割」「病いを有することの意味や医療者として患者への共感」について、高学年では実臨床を想定した症例と模擬患者?家族を活用して他職種の学生と「チーム医療の重要性」について学びます。
ACTIVITY
模擬患者?家族参加型多職種連携教育 in 名古屋大学[地域における専門職連携教育“つるまい?名城 IPE(多職種連携教育)”:対面でのポリクリIPE](活動報告1)
2022/08/02
2022年度InterProfessional Education(IPE:多職種連携教育=専門職連携教育)は、2021年度に引き続き、十分な感染対策を講じた上で、マスク着用にて従来と同様に対面にて5月13日(金)から開始されました[12月16日(金)まで、全16回39名参加予定]。本IPEは、2016年度から5年次の単位認定として実施しています。
討論する症例は「認知症が疑われる糖尿病の患者」であり、現代社会で問題となっている認知症と糖尿病を取り上げました。効率よくグループワークを行ってもらうため、事前講義として、1) IPEについての導入講義を行いました。また、自己学習として、1)IPEについての動画と解説、2) 今回使用するシナリオ、3) 認知症に関する各医療職用のビデオ教材の3種類を視聴してもらいました(名城大学のホームページ名城IPEの:https://yyipe.meijo-u.ac.jp)。薬学生、医学生と看護学生はグループとなり、各職種の専門的視点からの議論と相互理解のもと、患者介護者にアプローチするという取組で行い、1)他の専門職種に対する自職種の役割、2)チーム医療の重要性の理解、3)他の専門職種に対する心理的障壁を如何に解決するかを涵養します。
2022年7月15日に開催されたポリクリIPEには、文部科学省 池田佳隆副大臣御一行と名古屋大学関係者が視察に来られました。視察は、④のグループワーク、⑤の模擬患者家族への医療面接、⑥のグループワークの場面でした(下記の IPEスケジュールと写真)。副大臣は医学部教員によるスケジュールの説明を熱心に聞いておられ、「医学生と薬学生と看護学生が一つのチームにいるのですね」「教員はどのように学生の医療面接を邪魔せずに内容を把握し、フィードバックをするのですか」と尋ねられました。隣室のブリーフィングルームに設置されているモニターと音声から⑤の医療面接の様子を観察していると医学部教員が説明されました(写真)。また、副大臣は「本実習(ポリクリIPE)は、高齢者の糖尿病患者に関するものと聞いていますが、癌などのように治療困難な疾患の患者へのアプローチも重要かと思いますが、いかがですか」とコメントされ、「本実習(ポリクリIPE)は、高齢者の糖尿病患者が認知機能低下をきたした症例で、ご家族の心情に配慮して医療面接を行い、療養計画を立てることが課題となっています」と医学部教員が説明されました。それに対して、「認知症は根治する薬がない、治らないという、なかなか難しい疾患を課題としているのですね」とコメントされ、「悪い知らせの伝え方」という隠されたテーマについても、関心を持たれていました。グループワークの様子を見学された後、医学生?薬学生?看護学生へ「教育システムを考える側なので、どんどん皆さんが良質な学習できるようにしますので、頑張ってください」と温かい激励のお言葉をかけられていました(写真)。
IPE参加前には体調?行動記録を確認し、密を避けながらの実施となりましたが、活発な討論が行われました。終了後のアンケートでは、1)他の職種と関わることがないので非常に良い機会となった、2)他の職種との相互理解に役立った、3)患者やその家族の視点からのフィードバックが患者の理解につながった、などの回答が多くありました。
【IPEスケジュール】
全体でオリエンテーション?自己紹介?チーム医療 ? グループに分かれ、①ミニレクチャー(各職種)? ②シナリオの問題点抽出? ③薬?医?看護学生別々に医療面談 ? ④情報を共有?統合 ? ⑤全員で医療面談 ? ⑥療養計画作成 ? 全体で療養計画発表とフィードバック
医薬学入門IPE チーム医療を支える多職種連携教育の実践:「他職種の役割を考え、理解する」(活動報告2)
2022/10/22
薬学部1年生は薬剤師の使命Ⅱの講義の一環として、2018年度より多職種連携教育を名古屋大学あるいは藤田医科大学の医学部の1年生と合同講義を行っています。2021年度は新型コロナウイルス感染症の拡大を懸念してオンラインでの合同講義でしたが、本年度の名古屋大学との合同講義はオンラインと対面でのハイブリッドにて開催しました。
【名古屋大学】
10月12日(水)と19日(水)の2日間、本学薬学部1年生204名(12日70名、19日134名)は、名古屋大学医学部1年生109名(12日56名、19日53名)との合同講義「医薬学入門IPE」に参加しました。本講義は、地域医療や緩和医療の中で医療人としての倫理観を涵養するための多職種連携教育として位置づけられています。本講義の目的は、①多職種連携教育トランプゲーム(IPET)を通して、医療?介護?福祉系専門職の名前を知り、それぞれの職種の役割を学ぶ、③地域医療や緩和医療に関する映画を通して、医療人として必要な倫理観などについて学習する、③少人数グループに分かれて、グループワークに必要なコミュニケーション能力と態度を身につける、④自らの意見をプレゼンテーションすることを学習する、としています。
本講義の午前では、各学部学生は、名城大学八事キャンパス薬学部と名古屋大学鶴舞キャンパス医学部に分かれて、ZOOMで結んでオンラインにてオリエンテーション(写真1)を行った後、映画「ピア」を鑑賞しました(写真2)。その後、名城生は名古屋大学医学部に移動しました。午後の対面講義では、薬学生と医学生が1つのグループとなって、最初にアイスブレークとして①自己紹介?②多職種連携教育トランプゲーム(写真4)を行いました。その後、映画「ピア」鑑賞して地域の患者やその家族たちに対する医療について、「将来の医師?薬剤師として、地域医療に関わるときに大切にしたいこと、大事なこと」を課題として、思ったこと、感じたこと、疑問に思ったことをグループにて出し合い、意見を集約し、それをまとめて発表しました。参加した薬学生から「トランプゲームを通じて、他職種の役割?連携について学習することができた」「シネメデュケーションを通して、地域医療や多職種連携の重要性を感じることができた」などの感想が多数ありました。
本講義のスケジュール(オンラインと対面のハイブリッド):
午前:ZOOMを用いたオンラインでのオリエンテーション(写真1) ? 各大学にて映画鑑賞(写真2)
※映画鑑賞後、名城生は名古屋大学医学部に移動
午後:対面でグループワーク実施:アイスブレーク ①自己紹介?多職種連携教育トランプゲーム(写真3と4)?
②KJ法でのグループワーク(シネメデュケーション)(写真5) ? 発表(写真6)
【藤田医科大学】
10月12日(水)、本学薬学部1年生69名は、藤田医科大学の1年生124名との合同講義「プロフェッショナリズムⅠ」に TEAMSを用いてオンラインで参加しました。
本講義のスケジュール(TEAMSにてグループワーク):
午前:アイスブレイク ? 講義「臨床倫理とは」、DVD「見えない終止符」視聴?分析?発表
午後:DVD「ある家庭の事情」視聴?分析?発表
チームワーク①についてグループワーク?発表 ? 映画鑑賞?分析 ?
チームワーク②についてグループワーク?発表
模擬患者?家族参加型多職種連携教育 in 名古屋大学:特別IPE(特別講義 地域における多職種連携医療)(活動報告3)
2022/12/16
2016年度から5年次の単位認定として実施しています2022年度多職種連携教育(IPE)の特別IPEが、名古屋大学医学部講義棟1階会議室2および2階と3階ゼミ室にて新型コロナウイルス感染症に配慮しながら開催されました。名古屋大学や日本福祉大学の医学、看護、社会福祉、および理学療法の学部生と実施しました[名城大学薬学部9名参加:11月28日(月)]。
昨年度に引き続き高齢化社会のがん医療をテーマとして、 5学科の学生(医?薬?看?理学?福祉)がチームを組みディスカッションを行いました。すなわち、シナリオを元に症例検討したのち、模擬患者?家族との医療面接を通して情報収集を行い、患者中心の在宅療養計画を作成しました。このIPEを通じて、①チームコミュニケーション力や他職種の役割、②生活者としての患者?家族の思いに気づくこと、③多職種連携の意義とその効果を実感することを体験学習しました。
本講義のスケジュール:
チームビルディング(オリエンテーション?アイスブレーク) ? ミニレクチャー(多職種連携医療など)? グループワーク(患者理解と問題抽出や医療面接の準備)? 模擬患者?家族と医療面接(情報収集)? グループワーク(在宅療養計画立案)? 模擬患者?家族と医療面接(在宅療養計画の説明)?グループワーク課題の発表と振り返り