大学概要【2022年度実施分】国際交流を介した町づくりと地域拠点の提案(津島市下街道を中心として)

理工学部

国際交流を介した町づくりと地域拠点の提案(津島市下街道を中心として)
実施責任者:生田 京子

本プロジェクトでは、津島市上街道?下街道周辺の町づくりについて、住民がすでに交流を開始しているフィンランドのタンペレ大学のメンバーと国際的な意見交換を行いつつ、新たな発見を提案におこしていく。また下街道に位置する1つの町屋を活用し、町の地域拠点(コワーキングスペース)として開いていく取り組みに参画する。学外?海外の多様な立場からなる他者との協働による刺激により学生が成長する機会をもうけていく。

ACTIVITY

フィンランドのタンペレ大学の学生さん達と国際ワークショップの開始

2022/09/03

 8月19日より、フィンランドのタンペレ大学の学生さん6人が名城大学に来訪し、名城大学の学生達24人と国際ワークショップが始まりました。
 このワークショップでは、津島市にある町家を地域コミュニティの拠点として再利用できるように改修していくことを目的とし、プログラムとデザインの両側面から検討しています。昨年度はオンラインにてフィンランドの学生達と検討を繰り返してきましたが、本年は顔を合わせて議論することが可能になりました。
 開始3日間は、ワークショップの流れ、自己紹介、関連するレクチャーなどから始まり、町家の古材を再利用して制作し、現地に設置する家具について、デザインレビューが行われました。各自で検討を進めてきた上で集合したデザインについて、模型や発表資料を整えて、相互に意見交換をしました。外部から建築設計関係者のクリティークも参画し、空間への適合性や構法的な妥当性などについて詳細な意見交換がなされました。

昨年度のオンライン国際ワークショップの様子:
/about/ms26/manabi/activity/detail_25985.html

デザインレビュー後の集合写真

提案された家具の模型や図面

互いの提案を見ながら感想を述べあう様子

ディスカッションを通して徐々に連帯感が生まれていく

テーブルについて構造妥当性の検討をする学生達

フィンランドのタンペレ大学の学生さん達と家具製作

2022/11/22

 8月?9月に、フィンランドのタンペレ大学の学生さん6人が名城大学に来訪し、名城大学の学生達24人と国際ワークショップを行いました。
 町家を改修した地域拠点にあわせて、家具製作を行うワークショップです。前半は名城大学にてデザインレビューを行い、そこで投票で選ばれた案を、津島現地にて自分達の手で制作しました。
 名城生とタンペレ大生がチームになり、10脚の椅子と2つの机を作りました。各チームとも英語で頑張ってコミュニケーションを取るうちに、相互にどんどん親しくなっていき、対面で会話し異文化を知る楽しさを感じていました。
 ここでは町家の改修過程で出てきた古材を部分的に再生使用しました。まずは古材にやすりをかけ、滑らかな状態にしてから塗装をかけていく、椅子や机の強度を確かなものにするために、継手を工夫していく???など、図面の上だけでは分からない苦労も経ながら、一致団結して無事完成。21日間のワークショップを通してかけがえのない体験ができた様子でした。
 ワークショップ最終日の9月6日には、両大学の学生たちが津島市役所に日比一昭市長を表敬訪問し、今後も国際交流と町家再生の取り組みが発展していくことに期待する発言をいただきました。

完成した椅子を前に集合写真

出来上がった椅子を見て達成感を感じる学生達

制作途中で、細かな部材の整合を確認して調整していく

互いに協力して部材を切断

完成した机を囲んで記念撮影

津島市長(画面中央)を表敬訪問

町屋でのリノベーション実習:床の形成

2022/12/03

5月から11月にかけて、町屋でのリノベーション実習が行われました。


 ここでは、上がり床を形成した過程を報告します。床の下地は、前年度の活動の中で取り組みました。本年度はその継続です。
 敷地内にあった蔵を解体した際に、いくらかの古材が保管されていました。資源循環の視点から、新たな材を購入するのではなく、まだ使える材料をいかにうまく転用活用していくか、学生達は改修の床仕上げ材として古材を活用することを考えました。実際に床に古材を並べると、町家独特の光環境のもとで、古材が光ったり、味わい深い表情を見せたりします。それらをデザインの要素として活かすことを考えました。
 
床の形成1 古材再生のための やすり?塗装(2022.5~2022.8)
 古材の活用はプロジェクトにおいて学生達が最も心を砕いた部分の一つでした。床下地の完成とともに、古材のやすりがけが始まりました。サンダーでやすると面白いほどに古材がきれいな材に蘇ります。それを喜んで、細かすぎる目でやすり過ぎたようでした。古材にやすりをかけた後に、いざ塗装を始めるとツルツルになり過ぎた古材は塗料をはじいていました。思うような塗料の染み込みを得るのには、やすり具合の手加減が重要でした。更に活用した古材の樹種が必ずしも同一ではなかったために、樹種ごとの塗料の染み込み具合をバランスさせるのに手間が必要でした。


床の形成2 床材の加工?調整?固定(2022.5~2022.11)
 床は中央は古材を一列横置きに並べ、両脇は縦に乱尺張りとするデザインで、中央古材の切り出しには細心の注意を行いました。また中心軸のはっきりしたデザインで、建物の実際の軸と中心軸を視覚的にそろえること、床材の加工、端部の既存との長さ調整、全てその場その場で合わせていく作業の連続を経て、貼り上がりました。

古材のやすりがけ

古材の塗装の試行錯誤

床材の設置位置とその長さを調整

床の古材を張る。部分的に材の反りをおさえるために重石をおく

完成した床

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