大学概要【2024年度実施分】災害医療?福祉の共通教材を活用した4大学協働による多職種連携教育の実践

薬学部

災害医療?福祉の共通教材を活用した4大学協働による多職種連携教育の実践
実施責任者:亀井 浩行

学生が主体となって、地域の医療?福祉系大学との連携による大規模なプロジェクトベースの教育プログラムを実践します。本取り組みでは、多種の学部?学科の医療系?福祉系学生が垣根を越え、グループワークを介して「学びのコミュニティ」を構築することを目的としています。質の高いグループワークをより円滑に行うためには、災害時における医療?福祉や各々の専門職の役割を理解しやすく、災害医療?福祉で抱えている課題の基盤となる情報を容易に各学科が共有できる教材を構築し、これを実践的に活用する必要があります。今回は、災害時における医療?福祉の役割を理解しやすい教材等を構築します。

ACTIVITY

藤田医科大学での4大学協働による多職種連携教育の第1日目が開催されました!

2024/06/11

多職種連携教育の第1日目が6月5日(水)に豊明市の藤田医科大学にて行われました。本学からは薬学4年生252名が4年次必須講義科目である「薬物治療マネジメント」の講義の一環として、6台の貸し切りバスに分乗して藤田医科大学のキャンパスに向かいました。今回の授業はコロナ禍が明けて5年ぶりに対面式となりました。参加学生は全体として986名となり、その内訳は、藤田医科大学医学部3年生104名、医療科学部(医療検査学科?放射線学科)3年生221名、保健衛生学部(看護学科、リハビリテーション学科)3年生265名、日本福祉大学社会福祉学部3?4年生49名、愛知学院大学歯学部3年生88名、健康栄養学科4年生7名、名城大学薬学部4年生252名でした。164チーム(1チーム6名の混成チーム)に分かれて7教室で行う国際的にも類のない大規模な多職種連携教育のプログラムとなりました。主催者である藤田医科大学の教職員の皆様方におかれましては多大なご尽力に深謝申し上げます。本学の教職員も神野薬学部長をはじめ21名が本プログラムの準備?運営に携わりました。バス到着後、各教室に分かれ、薬学生はそれぞれ1または2名が多職種の混成チーム(6名で1チーム)に加わりました。最初に各自予習してきた内容の確認課題を解き(iRAT)、アイスブレイクを挟んで、確認課題をチームで解く作業(tRAT)を行いました(TBL:チーム基盤型学習)。その後、各チームで1日目の応用課題に取り組みました。今年早々に発生した能登半島地震も記憶に新しいところですが、「被災住民に対する支援―医療?福祉系の私たちに何ができるか?―」をテーマとして、豊明市を例に、今後起こりうる南海トラフ地震でリスクの高い場所やその地域の災害対策における強みや弱みの要素をチーム内で意見交換しながら豊明市の地図に書き込みました。その後、各チームの代表者が地域の災害対策における強みや弱みとその根拠について発表しました。参加した薬学生からは、「他の職種になる学生と意見を交わせることがとても新鮮でした。」、「他大学の学生がそれぞれ学んでいる内容を知ることができ、医療の世界の幅広さを知ることができました。」、「薬学生同士では気づくことのできない視点の違いを感じることができ、色々な考え方を知ることができる良い機会になりました。」、「普段の薬学部内の学生生活では聞くことができない、自分とは異なる学部ならではの意見や発想を聞くことができました。」、「チームのメンバーとコミュニケーションをとることで、医療現場で実際に働いたときのイメージが湧いたと同時に、自分の意見を他職種にわかりやすく伝えることが難しいと感じました。」などの感想が聞かれ、「次回は職種の役割について話す機会があると思うので楽しみです。」と意欲的な意見が聞かれました。次回(第2日目)は、応用課題「災害にあった藤子さんを仮症例として、避難所や藤子さんの課題や専門職の支援について考える」に向けて各チームが討論?発表を行います。

名城大学八事キャンパスから藤田医科大学に向けてバスで出発する様子

薬学生がアイスブレイクで自己紹介をしている様子

チーム内で地震によるリスクの高い場所を検討している様子

薬学生がチーム内で積極的に意見を交わしている様子

藤田医科大学での4大学協働による多職種連携教育の第2日目が開催されました!

2024/06/18

多職種連携教育の第2日目は、6月14日(水)に行われました。最初に各自予習してきた医療?福祉専門職に関する確認課題を解き(iRAT)、その後、個人で回答した確認課題をチームで解く作業(tRAT)を行いました(TBL:チーム基盤型学習)。その後、各チームで、想定された症例に関する課題に取り組みました。課題症例は「大規模な地震が発生した後、衛生状態の悪い避難所に辿り着いた関節リウマチを患う高齢の女性」であり、最初にその症例のシナリオから被災状況?避難所の状況、症例の背景をチーム内で共有しました。症例のシナリオを読んでどう感じたかを自由に話しました。次に、避難所の課題、症例の課題を挙げ、どの専門職がどのような支援をしていけばよいかについて話し合い、各教室でグループの代表が発表しました。各グループからの代表的な意見として、「医師や薬剤師が、現在の症状や薬を聞き取りして、必要な薬を用意する。」、「看護師がトイレの介助、褥瘡の確認?管理を行う。」、「理学療法士が関節症状の痛みが悪化しない体勢やストレッチを指導する。」、「食事の問題に関して、歯科医師が口腔ケア、栄養士が食事指導を行う。」、「社会福祉士が精神的ケアや家族との連絡を行う。」などが挙げられ、避難所での各職種の役割を考える良い機会になりました。参加した薬学生からは、「災害時に必要な支援について色々な視点から考えることができ、学びが多かった。」、「災害時に各職種ができることを挙げていったことで、改めて連携がとても重要だと知ることができた。」などの感想が聞かれました。次回(第3日目)は、「被災から1か月後に、今後、症例の高齢者が望む生活を実現するためにどのような支援ができるか」につい討論を行います。
当日はNHKのTV取材が入り、授業の様子が「医療?福祉学ぶ学生が被災住民への支援を議論」として東海NHK足球竞彩网_英皇娱乐-任你博首页推荐
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20240614/3000036018.html) で紹介されました。

薬学生がチーム内で情報共有している様子

薬学生が症例の課題?支援について積極的に発表している様子1

薬学生が症例の課題?支援について積極的に発表している様子2

藤田医科大学での4大学協働による多職種連携教育の第3日目(最終日)が開催されました!

2024/06/24

多職種連携教育の第3日目(最終日)は、6月21日(金)に行われました。最終日は応用課題として、「被災後、避難所生活を余儀なくされている関節リウマチを患った高齢者が望む生活を実現するために」についてグループ討議を行った。グループ討議では、1)避難所から本人が強く希望する自宅に戻るべきか、2)自宅を離れて他県に住む息子夫婦と同居すべきか、3)仮設住宅に入るべきか、について、それぞれ利点?欠点を挙げました。その後、グループ間で上記の1)、2)、3)のケースについて発表し合いました。その後、東日本大震災を経験された南三陸病院の看護師の方々の支援の体験をビデオ視聴し、各チーム内で感想を述べ合い、プログラムを終了しました。参加した薬学生からは、「課題症例の問題として捉える点が学科の学生ごとに異なり、患者の希望を優先することや安全性を優先することなど、それぞれの理由も納得できるもので、色々な捉え方があることがわかった。」、「当事者の要望も踏まえたいが、自宅に戻れば余震の危険性があることなど様々な状況の中で何が最適か、重視すべきかを話し合い、優先順位をつけることが必要であることを強く感じた」などの感想が聞かれました。また、3日間の授業を通して、「他の専門職の学生と話し合うことで、薬学部の中での話し合いでは着目しない点や、介入方法など新たな発見がありとても貴重な体験をすることができた。」、「3日間を通して、将来、チーム医療を行うイメージを抱くことができた。」、「将来、実際に他職種同士で連携していく時に今回の経験を活かして、患者さんにとって最適な医療を届けられるように全力を尽くしたい。」などの意見が聞かれ、本プログラムの教育目標に沿った成果が得られていることが確認できました。
今回、総勢986名の学生が164チームに分かれ、今後の日本の最重要課題のひとつである「被災住民に対する支援―医療?福祉系の私たちに何ができるか?―」について取り組みました。本プログラムの学生目標として掲げられた、「患者?利用者?家族?コミュニティの課題に焦点を当て、共通の目標を設定できる。」、「他職種の役割を理解するとともにチームで協力して課題に取り組み、最適解を提案することができる。」ことが達成できたものと思われます。各分野の学生たちが真剣に意見を出し合い、非常に有益な成果をあげることができたと強く感じました。また、今回、本学からは21名の教職員が本プログラムの運営に携わり、教職員間の単なる交流ではなく、共に創り上げる教育をお互いの立場で学ぶことができ、教職員にとっても非常に有意義な3日間となりました。
今後、今回参加した医療?福祉系の専門分野の学生たちがそれぞれの専門職に就いた時、この学科の枠を超えたチームが協働して医療に貢献されることを切望します。最後になりましたが、今回、名城大学から藤田医科大学での多職種連携教育(アセンブリⅢ)に参加できましたこと、また、このような機会を与えていただきました大槻アセンブリセンター長、中村副センター長をはじめ多大なご尽力いただきました藤田医科大学の教職員の皆様方に心より感謝申し上げたいと思います。

薬学生が課題症例の支援について発表している様子①

薬学生が課題症例の支援について発表している様子②

薬学生が課題症例の支援について発表している様子③

写真に収まる4大学の教職員

  • 情報工学部始動
  • 社会連携センターPLAT
  • MS-26 学びのコミュニティ