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2023.05.16

岩井眞實教授、日本演劇学会「河竹賞」を受賞!

  • #知ってほしい!
  • #研究室だより

外国語学部

 このたび、本学部の岩井眞實教授の著書『 近代博多興行史 地方から中央を照射する』(文化資源社、2022)が日本演劇学会第55回河竹賞を受賞しました。

 この賞は学会員の優れた年間業績に対し、選考委員会の審査を経て贈られる賞です。

著書のカバー

著書を手にする岩井教授

『 近代博多興行史 地方から中央を照射する』の概要

 マイクロフィルム版の福岡の新聞や、各地に散在する芝居興行番付や記録を博捜?蒐集?整理し、幕末から明治年間の興行の一覧と番付一覧を基礎資料として、博多を中心とした九州北部地域の興行史をはじめて一冊に纏める。その史料を元に、興行を支えた人?物についての論説を加えた、生きた興行史?読める興行史となっていて、明治の博多の興行実態がわかる。また、博多生まれの川上音二郎がメディアに最初に登場した年月に関する論争に決着をつけるなど、史料に根ざした研究の成果を収める。(『出版ドットコム』より転載)

『 近代博多興行史 地方から中央を照射する』の目次

近代博多興行史 目次
はじめに

       研究篇
第一部 総論 地方興行史概説
 第一章 劇場と興行
  第一節 武田家と興行
   武田政子氏との出会い 武田一族 与吉の芝居道楽
  第二節 劇場通史
   劇場一覧 博多劇場史の展望
  第三節 興行を支える諸制度
   請元 請元としての武田与吉 劇場経営者と劇場
 第二章 巡業の実態
  第一節 初日から千秋楽
   町廻り(顔見世) 式三番引き抜きだんまり 替り狂言から千秋楽 番付
  第二節 衣裳?小道具?大道具 衣裳?小道具 大道具 劇場ごとの規格
  第三節 交通機関の発達と巡業
   鉄道敷設前 明治二一年の事例 巡業ルート

第二部 博多興行通史
 第一章 伝説の劇場
  第一節 宝玉舎をめぐって 宝玉舎 柳町大芝居と永楽社 集玉社
  第二節 西門橋教楽社と市川右団次 西門橋教楽社の存在 市川右団次 明治一〇年、一一年の右団次
  第三節 鳥熊芝居および集観舎
   鳥熊伝説 集観舎のお琴新兵衛
 第二章 「社」の時代
  第一節 教楽社開場
   小田部博美と井上精三の回想から 中村駒之助
  第二節 劇場に電灯ともる
   大阪中座 尾上多賀之丞 対抗する永楽社
  第三節 中村鴈治郎
 第三章 日清戦争前後
  第一節 我童?福助招聘合戦
   明治二五年の状況 我童の招聘ならず 時助?右左次一座から左升一座
  第二節 新演劇の興隆
   日清戦争劇ブーム 博多の新演劇 際物としての新演劇
  第三節 教楽社?永楽社の危機
   内紛 教楽社売買問題 東京俳優の招聘計画
 第四章 混乱?低迷
  第一節 北九州?筑豊の活況
   若松旭座開場 小倉旭座?小倉常盤座?直方日若座 博多の地盤沈下 運動場
  第二節 博多の大劇場計画
   「博多演劇会社」あるいは「福博演劇会社」 教楽?栄楽両劇場の対応
  第三節 コレラ
   コレラ発生 興行解禁と教楽社?栄楽座の迷走
 第五章 諸芸の開花
  第一節 映画伝来
   自動写真?活動写真 「シネマトグラフ」と「ヴァイタスコープ」 再び教楽社 活動写真の進歩 日露戦争と活動写真 日露戦争以後
  第二節 女義太夫
   博多の寄席 女義太夫
  第三節 浪花節
   宮崎滔天と桃中軒雲右衛門 「浮かれ節」から「浪花節」へ 日露戦争と桃中軒雲右衛門
  第四節 子供芝居
 第六章 「座」の時代到来
  第一節 明治座と寿座
   開場 武田与吉の「座」の時代 教楽社退転
  第二節 新しい芝居
   片岡我当の「桐一葉」 実川延二郎 尾上菊五郎?市村羽左衛門?尾上梅幸
  第三節 鴈治郎と巌笑、猿之助と八百蔵 嵐巌笑 中村鴈治郎二度目の来演 市川八百蔵と市川猿之助ほか
 第七章 「劇場」の時代
  第一節 博多座
   九州大学誘致と遊廓の移転 博多電気軌道 博多座の構想 左団次?喜多村緑郎
  第二節 九州劇場
   栄座 九州劇場開場
  第二節 松竹の全国制覇と大博劇場への道

第三部 川上音二郎
 第一章 名古屋の川上音二郎
第一節 川上音二郎の出発点
なぜ名古屋か 明治一五年名古屋説をめぐって
『名古屋新聞』 『愛知新聞』の新出記事
  第二節 川上音二郎と立憲政党
   川上の所属 甲田良造をめぐって 立憲政党という組織
  第三節 丁年問題その他
   渡部虎太郎 生活者としての演説遣い
 第二章 博多の川上音二郎
  第一節 寄席芸人時代
   前史 明治二一年教楽社?明治二二年開明舎
  第二節 新演劇
   明治二六年 教楽社
  第三節 正劇
   明治三七年 教楽社
  第四節 円熟
   明治四〇年 教楽社 明治四三年 博多座 明治四四年 明治座
 第三章 終章にかえて
  第一節 「みもの、ききもの」をめぐって
  第二節 地方興行史研究の展望
   新演劇の展開 ジャンルの境界線
   
引用文献一覧

       資料篇
博多興行番付目録
博多興行年表 明治篇

初出一覧
あとがき

索引1