大学概要【2020年度実施分】空き家を新たな地域コミュニティ資源として活用(木曾平沢伝統的建造物群保存地区?半田市亀崎景観形成重点地区を中心として)
理工学部
地域資源の発掘と活用では、2つの主たるフィールドを設けている。
木曽平沢伝統的建造物群保存地区での活動では、2020年度は塀の設計?施工を行う。プロジェクトを実施している対象空き家では、長い間手が入れられていない庭が存在しており、そこには廃屋と化してしまっている敷地境界の小屋がある。これを解体し、新たな敷地境界の塀を作成し、人々の居場所を創出する。
愛知県半田市亀崎地区での活動では、地域に散見される「空き家」を活用する視点を持って調査研究を進め、学生主体により、亀崎地区らしい賑わいの創出に向けた活用提案やワークショップの開催などを行う。
ACTIVITY
ロードバイクスタンドの設置
2020/09/11
ロードバイクスタンド 風景
昨年度に制作したロードバイクスタンドが設置されました。
知多半島は、知多半島一周サイクリングコース「知多イチ」がロードバイク愛好家の間で有名で、多くのロードバイカーが半島を訪れていますが、従来は亀崎付近の海沿いを通過していました。その流れを町の中に引き込み、亀崎のカフェなどで一休みをして町を散策するきっかけを与えたい、という願いからこのロードバイクスタンドの制作が依頼されました。設置された場所が歴史ある町屋(成田家本宅)の前であり、SNS発信なども意識され、学生らしい特徴的なデザインとして完成されました。
現在、COVID-19の影響で町も静かではありますが、学生たちは、いつか多くのロードバイカーが町を訪れるのを期待しているようでした。
壊れかけた塀を再生する塀+小屋の計画1
2021/01/12
空き家を新たな地域コミュニティ資源として活用(木曾平沢伝統的建造物群保存地区?半田市亀崎景観形成重点地区を中心として)の、今回は、木曾平沢伝統的建造物群保存地区のプロジェクトの進捗を報告します。
このプロジェクトでは、木曾平沢伝統的建造物群保存地区の空き家を、学生による自主施工で少しずつ改善して町の居場所として再編します。これまで、街で様々な人々と交流をしながら検討を進めてきたのですが、今年はそれも難しい状況でした。一方で、今年度の地域からの要求は明確で、壊れかけている敷地境界の塀を再生するというものでした。そこで、今年は検討に時間をかけ、地域を訪れることができる状況になった際に一気に動ける準備をすることにしました。
また、重要伝統的建造物群保存地区に位置する木曽平沢では、通りに面するものに何か変更を加える場合、市の教育委員会に答申する必要があります。その後、教育委員会から文化庁を経て許可が降りるという手順になります。9月までに学生による計画をし、10月に施主との打ち合わせ、年内を目処に新しい塀+小屋の図面を作成して、1月から施工の準備をします。
塀兼小屋を再生するにあたり、学生たちと以下のテーマを設定しました。今回は、検討の過程で大切にして来たことを紹介していきます。
?雁行する街並みを裏路地に引き込む
町家が連続する木曽平沢なのですが、古い町なので道路はまっすぐではありません。曲がった道と直角な建物の間には、小さな隙間が生まれ、家々が雁行する特徴があります。そんな町の小さな隙間の可能性を尊重し、塀兼小屋が立地する裏路地にも隙間が延伸するような計画を考えました。
?塀として、小屋としての佇まいの可能性
塀としての佇まいと、小屋としての佇まいの違いは何か、といった検討にも力を入れました。屋根勾配一つをとっても、ちょっと違うと印象は全く異なります。道に対して、どのような見え方が塀的なのか、答えのない、でも、大切な検討を続けきました。
?学生による自主施工を前提としたデザイン
手に入りやすい材料を使って強固な建築にするというデザインの検討も大切なテーマでした。30mm*40mmという建築物の下地によく使われる部材を組み合わせることで軽やかなデザインになるように検討を続けました。
次回は、現地協力者と行った打ち合わせについて報告していきます。
(建築学科助教 佐藤布武)
壊れかけた塀を再生する塀+小屋の計画2
2021/01/12
空き家を新たな地域コミュニティ資源として活用(木曾平沢伝統的建造物群保存地区?半田市亀崎景観形成重点地区を中心として)の、今回は、木曾平沢伝統的建造物群保存地区のプロジェクトの進捗を報告します。
さて、今回は、施主とのオンラインMTの様子をお届けします。
塀+小屋を新設するにあたり、以下の3つに留意しながら計画を進めて来ました。
?雁行する街並みを裏路地に引き込む
?塀として、小屋としての佇まいの可能性
?学生による自主施工を前提としたデザイン
写真は提案した模型です。最終案では、廃材置き場と温室という2つの小屋とそれらをつなぐ門で構成されていて、それらが道側からは塀のように佇んでいるものを目指しました。施主打ち合わせを経て、今回の提案に加え、廃材や廃家具を活用することで、新しい敷地境界を目指す方向性が確認されました。
次回は、今回の結果を受け、実際の小屋を解体する作業に向かう予定です。
(建築学科助教 佐藤布武)