大学概要【2020年度実施分】地域PBL(Project Based Learning)型演習クラスの展開
外国語学部
外国語学部では国際理解への深い洞察と日本の歴史?文化を世界に発信する能力をもった人材の育成を目指しています。本プログラムは、大学が位置する東区の歴史的?文化的遺産に焦点をあて、日本の礎を築いた先人たちの足跡がたどれる「文化のみち」エリアの知名度を向上させるという地域課題に外国語学部の4つの基礎演習クラスが実践的に取り組むものです。当該地域の歴史?文化に精通した東区文化のみちボランティアガイドの指導のもと、学生たちは対象地域の遺産的価値を学んだうえで、名古屋を訪れる外国人にも魅力が伝わるように英語での情報発信も行っていきます。
ACTIVITY
フィールドワークの実施?名古屋城?文化のみち町並み保存地区?
2021/01/12
外国語学部1年次の3つの基礎演習が合同で、名古屋市歴史まちづくり推進室および東区と連携して地域PBL型演習に実践的に取り組みました。今回、学生に地域側から与えられた課題は、コロナ禍における活動制限を反映した内容で、「文化のみちへのマイクロツーリズムを想定し、東海三県(愛知、三重、岐阜)の来訪者に向けた提案をしてください」という近隣観光を想定したものでした。名古屋城から東区徳川園に至る文化のみちエリアについて、事前に市の担当者から歴史?文化的に貴重な建造物や景観の歴史的背景についての講義を受けたうえで実際に現地調査をするため、9月27日(日)にフィールドワークを実施しました。当日は30名余の学生が参加しましたが、感染症対策として午前?午後に分かれ、名古屋城から町並み保存地にかけてのコースを1グループ5人以下で距離を空けながら屋外を中心に行動しました。地元の東区文化のみちガイドボランティアの皆さんから詳しい説明を受け、文化のみちエリアがまさに名古屋の近代化の歩みを伝える歴史的な遺産の宝庫であることを理解することができました。身近にあり文化的?歴史的価値の高い場所でありながら必ずしも知られていない隠れた地域遺産である文化のみちエリアへの訪問者をいかに増やしていくのかについて、どのような提案ができるかを今後チーム単位で話し合うことになりました。
文化のみちの魅力と課題の分析および解決策の発表
2021/01/12
9月27日に実施したフィールドワークを通して得られた知見に基づき、8チームがそれぞれ「文化のみちの魅力とは何か、あるいは課題として浮かび上がってきた問題点は何か、さらにどう解決していくことができるか」について熱心に話し合いを行いました。
話し合った結果については、名古屋市歴史まちづくり推進室および東区の担当者の前で各チームが第一次提案および最終提案として2回にわたって発表しました。コロナ禍における近隣からの日帰り訪問者向けのマイクロツーリズム案ということで、例年とは少し趣の異なる斬新な内容の提案が目立ちました。インスタ映えするレトロな建築物に着目したチームは写真コンテストツアーの案や、データに基づく現状分析をしたうえで交通?広告?外観といった総合的な観点から、特に外観の改善案としてステンドグラスで有名な二葉館からヒントを得た、東区の小中学校向けのステンドガラスづくり体験学習案など独創的な提案がなされました。最終提案に対する自治体担当者の講評を受けた学生からは、提案の根拠を具体的に示すことの重要性や費用や来場者について掘り下げる必要性を学ぶことができた、回を重ねるごとに発表方法が改善できたことや的確な助言によって提案の視点をより絞り込むことができたといった多くのリアクションがありました。
チーム活動の結果を報告し合う様子
地域課題の分析および解決策を提案するポスター発表会
2021/01/12
最終提案の発表とそれに対する講評を踏まえたうえで作成した発表用のポスターの前で、各チームが提案した内容について全員参加型で発表を行いました。ポスター発表会には、学生たちに課題を提供し、解決策を考案するまでのプロセスでも的確な助言をしてくださった名古屋市まちづくり推進室および東区との自治体担当者の皆さんに加えて、東区文化のみちガイドボランティアの皆さんも参加し、学生の発表に多くの質問をしてくださいました。
学生たちは、発表者と質問者に分かれ、時間制で両方の立場を経験しながら、発表するスキルと質問するスキルの両方を同時に学ぶ大変有益な機会となりました。ポスター発表会終了後に学生たちから提出されたリアクションペーパーには、聴いている人に理解してもらえるように要点を的確に伝えることが難しかったとか、発表に対して多くの人から質問を受けることで発表の内容を深めることができたといった意見が書かれてありました。
今回の地域PBL型演習に取り組んだこと全般についてまとめたレポートからは、特に実際に現地に足を運び地域を熟知したガイドの説明を受けながら実態を捉えることで学べる点が多かったこと、ゼミの枠組みを超えて編成されたチームでの活動から相互に多くのことが学べたこと、そしてパワーポイントを用いた通常の発表形式に加えてポスター発表という双方向の発表から多くのことを学べた点が共通の意見として多く見られました。一年次前期に企業の課題に取り組み、後期で今回のように地域の課題に取り組むことができたことで、学生の多くが自分に足りない能力やスキルを認識するとともに新しい可能性が発見できたとしており、大学の初年度教育としてPBL型演習は有効な教育手法であったと総括できます。