大学概要【2021年度実施分】共通教材を活用した医療?福祉系大学協働による多職種連携教育の実践

薬学部

共通教材を活用した医療?福祉系大学協働による多職種連携教育の実践
実施責任者:亀井 浩行

学生が主体となって、地域の医療?福祉系大学との連携による大規模なプロジェクトベースの教育プログラムを実践します。本取組では、多種の学部?学科の医療系学生が垣根を越え、グループワークを介して「学びのコミュニティ」を構築することを目的としています。質の高いグループワークをより円滑に行うためには、各学科に共通する教材を充実させ、各々の専門職の役割を理解しやすい教材や地域医療で抱えている課題の基盤となる情報を容易に共有できる共通教材を構築し、これを実践的に活用する必要があります。今回は、専門職の役割を理解しやすい教材等を構築します。

ACTIVITY

活動報告1: 藤田医科大学での多職種連携教育が始まります!

2021/06/07

 藤田医科大学での多職種連携教育の一環として、「アセンブリⅢ2021」がいよいよ始まります。本学の薬学4年生全員(242名)が6月9日、18日、25日の3日間にわたり、このカリキュラムに本学のカリキュラムである名城IPE③として参加します。昨年はコロナ禍で本学は参加中止となりましたが、今年はオンラインにて本学の学生が、藤田医科大学の医学生、看護学生、リハビリテーション学科生、臨床検査学科生、放射線学科生、臨床工学学科生、医療経営情報学科生、日本福祉大学社会福祉学科生、愛知学院大学歯学部及び心身科学部との混成チーム(5~6名で1チーム)をつくり、チーム基盤型学習(TBL)という形態で、今年のテーマである「患者のどう生きたいかという願いに思いをめぐらせ、患者の願いにどう寄り添うかを考える」の課題に取り組みます。参加学生は総勢1,039名と、世界的にも大規模な授業を展開します。6月1日はこの授業に先駆けて、本学の学生に対して本授業の趣旨、スケジュール、授業形態(オンラインでの操作等)、予習事項などについて説明会を遠隔講義で開催しました。

1,000名以上の学生のオンラインによる多職種連携教育の準備のため各大学の教員がリモートで打ち合わせをしている様子

活動報告2: 藤田医科大学での多職種連携教育が始まりました!

2021/06/19

 藤田医科大学での多職種連携教育の一環として、「アセンブリⅢ2021~患者のどう生きたいかという願いに思いをめぐらせ、患者の願いにどう寄り添うかを考える~」が始まりました。 

 第1日目(6月9日)が行われました。本教育プログラムには、本学4年次必須講義科目である「薬物治療マネジメント」において、4年生全員(242名)が必須カリキュラム 名城IPE③ として参 加しました。参加学生は全体として1,039名となり、その内訳は、藤田医科大学医学部3年生118名、医療科学部3?4年生264名(臨床検査学科、放射線学科、臨床工学科、医療経営情報学科)、保健衛生学部3年生251名(看護学科、リハビリテーション学科)、日本福祉大学社会福祉学部3?4年生16名、愛知学院大学歯学部3年生139名、健康栄養学科4年生9名、名城大学薬学部4年生242名であり、計174の混成チーム (1チーム5-6名)に分かれて行う国際的にも類のない大規模な多職種連携教育のプログラムとなりました。主催者である藤田医科大学の教職員の皆様方には多大なご尽力に深謝申し上げます。本学の教員も20名が本プログラムの運営に携わりました。プログラムはまず、第1日目(6月9日)は、藤田医科大学で使用されているTeamsを使って、全学生がオンラインでアクセスし、「アセンブリ教育について」、各チーム内での自己紹介、班のルールづくり、役割(司会役、書記、タイムキーパーなど)分担決めの後、オリエンテーション課題について各チームで取り組みを終了しました。

 第2日目(6月18日)は、各自予習してきた内容の確認課題を解き(iRat)、アイスブレイク後、確認課題をチームで解く作業(tRat)を行い(TBL:チーム基盤型学習)、その後、予め提供された課題シナリオ(大学生の当事者が胃がんであることがわかり、手術を受けることになった)について各自の感想をチーム内で共有しました。その後、応用課題1-1として、「同世代の当事者がどう生きたいか、どう生きることを願っているかを考える」について、チーム内で討論し、各チームが発表し合った。次に応用課題1-2として、「当事者が望む生き方を実現するためにどうするかを本人?家族の立場で考える」について、チーム内で討論し、各チームが発表し合った。その後、3日目の課題について各自予習してくる内容についてチーム内で話し合い、2日目は終了となりました。

 参加した学生からは、「夢である保育士になるには病気のコントロール、再発防止が重要であるためまずは術後合併症や薬による副作用などについて自らが理解し、実践できる予防策などを行う」、「当事者とその家族の精神衛生も考えてそれぞれの生活を大切にする」などの意見が聞かれ、次回のアセンブリに向けて意欲的な意見が多く聞かれました。昨年はコロナ禍で参加中止となりましたが、今年は本学の学生が不慣れな他大学のオンラインシステムに奮闘しながら、無事2日間終えることができました。

藤田医科大学アセンブリ教育センター長 大槻眞嗣教授が学生に向けて挨拶している様子

藤田医科大学アセンブリ教育副センター長 中村小百合教授が学生に向けて説明している様子

名城大学薬学部亀井浩行教授(筆者)が学生に向けて挨拶している様子

薬学生を含めた混成チームの学生たちが画面越しに討論している様子

活動報告3: 藤田医科大学での多職種連携教育の3日目(最終日)が行われました!

2021/06/26

 藤田医科大学での多職種連携教育の一環として、「アセンブリⅢ21患者のどう生きたいかという願いに思いをめぐらせ、患者の願いにどう寄り添うかを考える」の最終日3日目(6月25日)が行われました。2日目に模擬事例としてグループ討議された当事者が大学卒業10年後(就職8年後)に胃がんが再発したことを受けて、応用課題2として「再発した当事者についQOLを念頭に考える」について各グループで討議しました。参加した薬学生からは、「名城大学で行う薬物治療マネジメントでは、同じ薬剤師としての意見や考え方でグループワークを行ってきたが、今回の三日間のグループワークでは、多職種とのグループワークということで今までの自分たちでは考えつかなかった方向からの視点や意見を交換することができて非常にいい経験になった。」、「名城大学での薬物治療マネジメントでは薬剤師のみでケアプランを考察しているが、実際の現場では、薬剤師以外にも医師、看護師、検査技師など様々な職種の方と連携し、それぞれの分野を生かしてプランを計画していくので、簡易的ではあるが実践的な体験をすることができた。」、「初めていろんな職種の学生と集まって、たくさんの視点から患者について考えられることを改めて知り、多職種連携の大切さについて知ることができた。」などの意見が聞かれ、本プログラムの教育目標に沿った成果が得られていることが確認できました。今回はオンラインでの参加となりましたが、次年度は学生の多くが希望しているように、互いに顔を突き合わせた対面での授業になりますことを願っています。
 今回、総勢1,039名の学生が174チームに分かれ、今後の日本の重要課題のひとつである、がん患者のQOL(生活の質)について考え、どのように支援していくかについて討議を行いました。本プログラムの学生目標として掲げられた、「将来の専門職連携?協働を目指して、多分野の学生間で討議できる」こと、「患者中心の視点を持ち、患者とそのご家族のために何ができるかを思考し、提案できる」ことが達成できたものと思われます。各分野の学生たちが真剣に意見を出し合い、非常に有益な成果をあげることができたと強く感じました。また、今回も、本学からは20名の教員が本プログラムの運営に携わり、教員間の単なる交流ではなく、共に創り上げる教育をお互いの立場で学ぶことができ、教員にとっても非常に有意義な3日間となりました。
 今後、今回参加した1,039名もの医療介護?福祉の専門分野の学生たちがそれぞれの専門職に就いた時、この学科の枠を超えたチームが協働して医療に貢献されることを切望します。最後になりましたが、今回も、名城大学から薬学生4年生全員が一人の欠格者もなく、藤田医科大学での多職種連携教育(アセンブリⅢ)に参加できましたこと、また、このような機会を与えていただきました大槻アセンブリセンター長、中村副センター長をはじめ多大なご尽力いただきました藤田医科大学の教職員の皆様方に心より感謝申し上げたいと思います。

最終日のグループ討議に真剣に取り組む学生たち

最終日のグループ討議に真剣に取り組む学生たち

最終日終了後にオンラインにて教員間で反省会を行いました

  • 情報工学部始動
  • 社会連携センターPLAT
  • MS-26 学びのコミュニティ