大学概要【2022年度実施分】共通教材を活用した医療?福祉系大学協働による多職種連携教育の実践
薬学部
学生が主体となって、地域の医療?福祉系大学との連携による大規模なプロジェクトベースの教育プログラムを実践します。本取り組みでは、多種の学部?学科の医療系学生が垣根を越え、グループワークを介して「学びのコミュニティ」を構築することを目的としています。質の高いグループワークをより円滑に行うためには、各学科に共通する教材を充実させ、各々の専門職の役割を理解しやすい教材や地域医療で抱えている課題の基盤となる情報を容易に共有できる共通教材を構築し、これを実践的に活用する必要があります。今回は、専門職の役割を理解しやすい教材等を構築します。
ACTIVITY
藤田医科大学での多職種連携教育が始まりました!
2022/06/10
藤田医科大学での多職種連携教育の一環として、「アセンブリⅢ2022」の第1日目(6月8日)が開催されました。本学の薬学4年生全員(232名)が6月8日、17日、24日の3日間にわたり、このカリキュラムに本学のカリキュラムである名城IPE③として参加します。昨年に引き続き、今年もオンラインにて本学の学生が、藤田医科大学の医学生、看護学生、リハビリテーション学科生、臨床検査学科生、放射線学科生、臨床工学学科生、医療経営情報学科生、日本福祉大学社会福祉学科生、愛知学院大学歯学部及び心身科学部との混成チーム(5~6名で1チーム)をつくり、チーム基盤型学習(TBL)という形態で、今年のテーマである「患者のどう生きたいかという願いに思いをめぐらせ、患者の願いにどう寄り添うかを考える」の課題に取り組みます。参加学生は総勢955名と、世界的にも大規模な多職種連携教育のプログラムとなりました。主催者である藤田医科大学の教職員の皆様方には多大なご尽力に深謝申し上げます。本学の教員も19名が本プログラムの運営に携わりました。第1日目のプログラムでは、藤田医科大学で使用されているTeamsを使って、全学生がオンラインでアクセスし、「アセンブリ教育について」、各チーム内での自己紹介、班のルールづくり、役割(司会役、書記、タイムキーパーなど)分担決めの後、各自予習してきた内容の確認課題を解き(iRat)、その後、確認課題をチームで解く作業(tRat)を行い(TBL:チーム基盤型学習)、その後、予め提供された課題シナリオについて各自の意見(もしあなたが当事者やその夫だったら?当事者が白血病かもしれないと分かったらどんな気持ちになると思いますか?など)をチーム内で共有しました。その後、各3チーム内で討論し、各チームが発表し合った。その後、2日目の課題について各自予習してくる内容についてチーム内で話し合い、1日目は終了となりました。参加した学生からは、「白血病と診断され,病気,治療について分からないことが多いことで、これからの将来を想像することができず、不安に感じている」、「周りの人達に気を遣わせてしまったり、特別な目で見られるのは嫌なので無理にでも元気にふるまうと思う」、「死に直結する病気に罹患したことでショックを受けている中,専門用語での説明を受けたことで理解ができず混乱してしまう」、「妻のために何ができるのか、治療費はどうするか、など考えることが多く何から治療に対する準備をすれば良いのか迷うと思う」などの患者側の立場にたった意見が聞かれ、次回のアセンブリに向けて意欲的な意見が多く聞かれました。今年も本学の学生が不慣れな他大学のオンラインシステムに奮闘しながら、無事1日目を終えることができました。
藤田医科大学での多職種連携教育の2日目が行われました!
2022/06/18
藤田医科大学での多職種連携教育の一環として、「アセンブリⅢ22患者のどう生きたいかという願いに思いをめぐらせ、患者の願いにどう寄り添うかを考える」の2日目(6月17日)が行われました。2日目は、アイスブレイク後、各自予習してきた内容の確認課題を解き(iRat)、確認課題をチームで解く作業(tRat)を行い(TBL:チーム基盤型学習)、その後、予め提供された1日目の課題シナリオについて、応用課題2として「もしあなたが当事者の嘱託医?保育園の看護師、園長、同僚だったら、当事者にどのように接したいと思いますか?」に関して話し合い、1日目と同様に各3チーム内で討論し、各チームが発表し合いました。多くの学生から、「職場のことは気にせず、治療に専念できるようにサポートしていく」などの当事者に寄り添う意見が聞かれました。その後、実際の類似の疾患を患っている患者さんへのインタビュー(音声のみ)を参加学生が共有しました。次に、応用課題3として、①「治療を始める前、当事者にはどんな思いや不安があったでしょうか?」、②「治療が始まって、当事者の思いや不安に変化はあったでしょうか?」、③「もしあなたが当事者なら、仕事に戻ってもよいと主治医から言われたら、どうしますか?その時、どんな気持ちになり、どんなことを考えると思いますか?」について、各チーム内で討論し、3日目に行われる発表に向けても意欲的にチーム内で話し合い、2日目は終了となりました。学生からは、治療が始まった当事者について、「治療が良い方向に進み安心している一方で、いつか病気が悪化してしまうのではないかという不安に襲われている。」、「当事者は職場に戻りたいとは思うが、もし戻って悪化してしまうとまた迷惑をかけてしまうかもしれないという不安がある」などの意見が聞かれ、治療中の患者さんの不安な気持ちを理解しようとする姿勢が窺われ、次回のグループ発表が大いに期待されます。
藤田医科大学での多職種連携教育の3日目(最終日)が行われました!
2022/06/24
藤田医科大学での多職種連携教育の一環として、「アセンブリⅢ2022 患者のどう生きたいかという願いに思いをめぐらせ、患者の願いにどう寄り添うかを考える」の最終日3日目(6月24日)が行われました。2日目に模擬事例としてグループ討議された当事者が白血病の治療を始めたことや実際の類似の疾患を患っている患者さんへのインタビューの視聴(音声のみ)を受けて、応用課題3として、①「治療を始める前、当事者にはどんな思いや不安があったでしょうか?」、②「治療が始まって、当事者の思いや不安に変化はあったでしょうか?」、③「もしあなたが当事者なら、仕事に戻ってもよいと主治医から言われたら、どうしますか?その時、どんな気持ちになり、どんなことを考えると思いますか?」について討議し、1チームあたり10分発表(質疑8分)を行い、3チームで約1時間の発表?討論を行いました。質疑では他のグループから活発な質問があり、充実したグループ間での討議ができました。参加した薬学生からは、「色々な学科からの学生がいるため、さまざまな視点で問題を分析できた。」、「自分の知識の浅いところでもチームメンバーが補充してくれることが良かった。」、「自分はまだまだ知らないことが多々あるということを感じることができ、もっと他の医療従事者について知っていくべきだと感じた。」、「さまざまな職種からの視点や知識を聞くことができて、より詳しく事例について考えることができた。」、「薬学生として普段は薬についてメインに考えることから、患者の気持ちを中心に考えることには不慣れであったが、今回の授業を通して改めて多職種連携の大切さについて知ることができた。」などの意見が聞かれ、本プログラムの教育目標に沿った成果が得られていることが確認できました。今回もオンラインでの参加となりましたが、次年度は学生の多くが希望しているように、互いに顔を突き合わせた対面での授業になりますことを願っています。
今回、総勢956名の学生が160チームに分かれ、今後の日本の重要課題のひとつであるがん患者のQOL(生活の質)について考え、どのように支援していくかについて討議を行いました。本プログラムの学生目標として掲げられた、「将来の専門職連携?協働を目指して、多分野の学生間で討議できる」こと、「患者中心の視点を持ち、患者とそのご家族のために何ができるかを思考し、提案できる」ことが達成できたものと思われます。各分野の学生たちが真剣に意見を出し合い、非常に有益な成果をあげることができたと強く感じました。また、今回も、本学からは19名の教員が本プログラムの運営に携わり、教員間の単なる交流ではなく、共に創り上げる教育をお互いの立場で学ぶことができ、教員にとっても非常に有意義な3日間となりました。
今後、今回参加した956名もの医療介護?福祉の専門分野の学生たちがそれぞれの専門職に就いた時、この学科の枠を超えたチームが協働して医療に貢献されることを切望します。最後になりましたが、今回も、名城大学から薬学生4年生全員が一人の欠格者もなく、藤田医科大学での多職種連携教育(アセンブリⅢ)に参加できましたこと、また、このような機会を与えていただきました大槻アセンブリセンター長、中村副センター長をはじめ多大なご尽力いただきました藤田医科大学の教職員の皆様方に心より感謝申し上げたいと思います。