2022年9月、「英語科指導法I」(担当:藤原)の授業に、名古屋市立平針中学校校長、武田一宏先生をゲスト講師としてお招きいたしました。先生は名古屋市中学校、愛知教育大学附属名古屋中学校、名古屋市教育センター?教育委員会の指導主事などを経て、現職でいらっしゃいます。先生には「中学校英語教育40年間の変遷と学校現場の対応」と題した特別講義を行っていただきました。
40年間の教育経験
武田先生は、1980年頃から今までの40年間の中学校英語教育の歴史を、学習指導要領と教科書にもとづいて、分かりやすくお話ししてくれました。折にその当時に流行った指導法(文法訳読、パタン?プラクティス、オーラル?イントロダクション、ペア/グループ?ワーク、タスク)を紹介しつつ、「この活動の問題点は?」と問いかけられ、受講者はさまざまな活動の利点だけでなく問題点まで考えることができました。
教科書は二色刷りからカラー、サイズがA5からA4へという変化、機材はテープ、CD、バーコードリピーター、デジタル教科書へと大きく進歩してきたものの、指導法においては、いつの時代にも完璧なものはなく、教員のねらいと工夫が大切であることが伝わりました。
受講者からの質問へきっちり回答
本特別講義の前に、受講者からの質問を事前にとりまとめてお送りいたしました。そうすると、武田先生はなんとすべての質問にきっちり回答された10ページ以上の文書を作成いただいておりました。「学校の教員はブラックですか?」「小中高の教員の使途後の大きな違いは何ですか」「子供たちに物事を教える上で、一番大切にしていることは何ですか?」「教師のやりがいは何ですか」など、さまざまな質問に懇切丁寧に回答いただきました。
「学校の教員はブラックですか?」の問いに対しての口頭での一言が大変印象に残っているので、ご紹介します。
「放課後、ちょっと気になった生徒に対して一本電話をかけるか、また明日の授業をよりよくするために一枚プリントをつくるか。その両方とも別にしなくても、給料には何の関係もない。それをするかしないか、どう捉えるかで、この仕事がブラックと思うか、やりがいがあると思うかが変わる。」
教員の仕事の本質を突かれていると感じました。
受講者の感想
初めに、とてもしっかりと準備をしてくださっていたのがよくわかって感動しました。スライドの充実度や数はもちろん、私たちからの質問にも一つ一つ丁寧に、紙にして回答してくださっていたのに驚きました。武田先生ご自身が教員の仕事についてとてもよく考えながら、誇りを持って楽しんで勤められてきたこと、そしてこれから教員になろうとしている私たちのことを応援してくださっているということを、勝手かもしれませんが感じました。話し方はユーモアもありつつ切り替えが素早く、素晴らしい経歴と経験をお持ちの大先輩にも関わらず、いい意味での爽やかさや時代に追いついていく若さを感じました。まさに武田先生が最後におっしゃっていた「先生」像につながるなと感じました。歴代の教科書を見られることもなかなかないと思うので、貴重な経験でした。英語教育の歴史をわかりやすく見ることができてとてもおもしろかったです。ありがとうございました。
(浅野 真実子 外国語学部3年)
名城大学ではこれからの英語教員を輩出します。
(文責:藤原)
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