大学概要【2018年度実施分】産学連携による現場触発型キャリア教育(キャリア特論)の実践
経営学部
経営学部では、地域の企業経営者やNPO関係者等、外部協力者との議論を重ね、そこで寄せられた意見も参考にしつつ、2年次生を主対象とした科目「キャリア特論」を新設しました。本科目は、教室での講義?グループワークと企業現場での実習という2部構成からなっております。前者では、協力企業から与えられた課題を受け、グループで手分けしながら、業界動向やそこでの協力企業の位置づけなどについて調査を重ね、その成果を中間プレゼンテーションで発表します。後者では、中間プレゼンテーションへのフィードバックから明らかになった課題も踏まえつつ、夏期休暇中に3回協力企業を訪問し、実際に仕事を経験します。これらの企業訪問と職場体験を経たうえで、最終プレゼンテーションを行うことになります。以上のプロセスを通じ、受講生が「働く」ことの意味を熟考するとともに、自身の望む「職業人生」とそれを実現するために不可欠な能力を明確化すること、これに伴い、専門課程の意義を理解しそれに対する学習意欲が高まることを期待できるものと考えます。
ACTIVITY
2018年度キャリア特論講義
2018/04/06
2018年4月6日に2018年度キャリア特論がスタートしました。今年度は、自動車部品製造企業のエイベックス株式会社様のご協力を仰ぎ、同社執行役員である生駒健二様に講師を務めていただきます。写真(授業風景1)は、生駒様に自己紹介をいただいているところです。
今年度のキャリア特論は、10名の学生が履修してくれました。自己紹介では、一人一人が本講義を履修した動機や、講義に期待していることをしっかりと述べていました。講義を通し、受講生達がどのように成長していくのか今後の展開が楽しみです。
講師、コーディネーター(教員)、学生達の自己紹介が一通り済むと、チーム分けを行いました。早速最初のグループワークを行いそれぞれのチーム名について検討した結果、「チームX(エックス)」と「ダイヤのエース」に決まりました。
どちらのチームも初顔合わせとは思えぬほど和気藹々としていました。来週、生駒様から課題が提示されます。皆が協力して粘り強く課題に取り組んでいってくれることを期待します。
2018年度キャリア特論講義
2018/04/13
授業風景1:生駒氏によるレクチャー
2018年4月13日の第2回目の授業では、企業講師である生駒健二氏から、エイベックス株式会社の略歴、事業内容、経営理念についてご説明いただきました。
生駒氏によるレクチャーの最後に、今年度の課題が提示されました。具体的な課題内容は次の通りです。
いずれも難易度の高い課題です。学生達もそのことを自覚してか、真剣な表情でした。約5ヶ月後の最終プレゼンテーションに向けて、一致団結して課題に取り組んでいって欲しいものです。
2018年度キャリア特論講義
2018/04/20
生駒氏によるレクチャー
本日2018年4月20日の講義では、まず生駒氏に自動車部品業界の動向、同業界におけるエイベックス社の事業戦略等についてお話しいただきました。経営戦略論、人的資源管理論、ワーク?ライフ?バランス論にまたがる密度の濃い内容でした。
生駒氏のレクチャー終了後、各チームで相談し、課題を選択しました。その結果、ダイヤのエースが「課題1:エイベックスが、就職活動に臨む学生達に、より一層注目してもらうためにはどうすべきかを考えなさい。」に、チームXが「課題2:エイベックス社員(とりわけ若手社員)のモチベーション向上策を考えなさい。」に取り組むこととなりました。
担当する課題が決定すると、早速、学生達はグループワークを開始し、課題遂行にあたって確認するべき事項について、生駒氏に質問を行いました。
第1回プレゼンテーション
2018/06/01
2018年6月1日のキャリア特論講義では、学生たちによる第1回目のプレゼンテーションを行いました。今回、チームXは「エイベックス社員(とりわけ若手社員)のモチベーション向上策を考えなさい。」という課題に対して、内発的動機づけに着目しつつ、万協製薬での取り組みを参考に、グループ化したメンター制度の実践を提言しました。
続いてダイヤのエースは「エイベックスが、就職活動に臨む学生達に、より一層注目してもらうためにはどうすべきかを考えなさい。」という課題に対し、複数他企業の取り組み事例を参考にしたうえで、理系大卒社員への奨学金返済補助、毎週水?金の定時退社、夜勤交代前後のフレックスタイムの3つを実施するよう提案しました。
企業講師の生駒氏や講義担当教員からは、チームXのプレゼンテーションに対して、内発的動機づけに注目した点は評価しつつも、それを高めるためにはより有効な手段が存在するのではないかとの疑問が寄せられました。同じく、ダイヤのエースのプレゼンテーションには、比較?ベンチマーク対象企業の選定理由が不明瞭、フレックスタイム制度がエイベックスになじむのか、実際に奨学金返済補助制度を実施している企業を紹介するべきではないかといったコメントがありました。こうした指摘を踏まえて、次回プレゼンテーションではより説得的な提案をしてくれるものと期待しています。
第2回プレゼンテーション
2018/07/06
2018年7月6日のキャリア特論講義において、学生たちによる第2回目のプレゼンテーションを実施しました。まず(チーム)ダイヤのエースが「エイベックスが、就職活動に臨む学生達に、より一層注目してもらうため」の方策として、奨学金返済補助制度、同社ホームページ改善の実施を提案しました。
続けてチームXが、モチベーション向上策として奨励型表彰制度とキャリアパス選択制度、グループ化したメンター制度の実施を提案しました。
これら提案に対して、企業講師の生駒氏から次のようなコメントをいただきました。まず両チームとも前回プレゼンテーションよりもレベルアップしている一方で、目指すゴールが不明瞭であるという共通した課題を抱えているとの指摘を頂戴しました。例えば、ダイヤのエースであれば応募者数対前年比○○%増、同様にチームXであれば離職率○○%減といった具体的目標を明示して欲しいとの要望です。こうした両チームに共通するコメントに続き、順次各チームへの具体的な助言や疑問が示されました。
具体的にダイヤのエースには、いきなり本題に入る前に前振りがあった方が良い、スライドの文字数を減らしポイントを大きくするべき、メリハリをつけるといったテクニカルなアドバイスがありました。またホームページ改善についてはどう改善していくのかという踏み込んだ提案が欲しかったという要望と共に、そもそも就活している学生がどこまで各社ホームページを参照し、そしてまたそこからどの程度影響を受けるのかという疑問も提示されました。最後に、生駒氏が全体を踏まえて述べられた、もう少し視野を広げ、新入社員が入社後どのようなことに悩むのか、そしてそれはどのような解決策が考えられるのかを検討し、それを提案につなげてはどうか、あるいはまた学生の就活目線に立って考えてはどうかと言ったアドバイスは、最終プレゼンテーションに向けてとりわけ大きなヒントになったのではないでしょうか。
他方、チームXには、単に他社の取り組み事例を紹介するのではなく、そこに自分たちなりの工夫を加えて欲しい、メンター制度のグループ化についてどのようなメンバーを組み合わせるのか等もう少し踏み込んだ提案をして欲しいと言った注文が出されました。
この第2回プレゼンテーションに向けて、両チームはエイベックス本社へ聞き取り調査に出向く、あるいはアンケート調査を行うなど、授業時間外に自発的な取り組みを行ってくれました。そうした積極的な姿勢の甲斐あってか、生駒氏の評にもあった通り、着実にプレゼンテーション内容は進歩しています。しかしながら、まだ改善の余地があることも事実です。講義担当教員から出された指摘も含め、示された課題について皆で知恵を出し合い、必ずや解決してくれるものと期待しています。
企業実習第1日目
2018/08/07
2018年8月7日(火)、キャリア特論の目玉のひとつである企業実習が始まりました。初日となるこの日はエイベックス本社に集合した後、三重県桑名市にある多度工場に移動し、まず講師から注意事項等の説明を受けました。その後、桑名市市役所(商工会議所)職員の黒田様から、エイベックス社も協力している、桑名市のインバウンド振興策MICEについてお話しいただきました。
これに引き続き、案内役の柘植様から、同社の品質管理についてご説明がありました。その際に、柘植様からエイベックス社のパンフレット改善案を提示してほしいという依頼がありました。今後学生たちには個人課題として、より魅力的なパンフレットにするための提案に取り組んでもらうことになりました。
さらに現場で活躍している若手社員お三方(勤続2~10年)に入社を決めた経緯や働きがい、困難なこと等、仕事に関するお話を聞かせていただいた上で、聞き取り調査を行いました。両チームとも、最終プレゼンテーションの質を高めるべく積極的に質問し、社員の回答に聞き入っていました。
企業実習第2日目
2018/08/08
2018年8月8日(水)、企業実習第2日目を実施しました。この日も、本社での製造業務推進会議見学、多度工場移動後の工場見学と社員への聞き取り、女性チームリーダーと本学OB社員によるお話と質疑応答、講師を交えての総括的な質疑応答と密度の濃い内容でした。
製造業務推進会議での議事内容は聞いても理解しがたいものでしたが、講師である生駒様を筆頭に、皆が限られた時間の中で効率的かつ熱く議論する出席者の様子から、仕事に打ち込む社会人の姿勢について学ぶところがあったようです。また多度工場移動後の工場見学を通して、エイベックス社のビジネスについて理解を深めるとともに、若手社員にお話を伺い、最終プレゼンテーションに向けての手がかりが多々得られました。さらに女性チームリーダーである佐藤氏からはご自身の体験に加え、同社の人事労務管理や労使関係についてご説明をいただきました。続いて本学OBの幸田氏からは本音を交えたざっくばらんなお話と、後輩たちへの暖かいエールを頂戴しました。最後に、生駒氏から両チームメンバーに対して、個別具体的なご助言がありました。
本年度キャリア特論も、いよいよ最終プレゼンテーションを残すのみとなりました。これまでの取り組み成果を存分に発揮し、素晴らしいプレゼンテーションを行ってくれるものと期待しています。
最終プレゼンテーション
2018/10/01
2018年10月1日(月)に名城大学天白キャンパス共通講義棟北館N-513教室でキャリア特論最終プレゼンテーションが実施されました。当初は9月4日に予定されていたのですが、台風の影響で1ヶ月弱遅れての開催となりました。ご多忙ななか、そしてこのような事情で急な日程変更があったにもかかわらず、ご協力企業のエイベックスから、生駒様と柘植様にお越しいただきました。
最初にプレゼンテーションに臨んだ「ダイヤのA」は、年3日任意の目的で取得できる「なんでも休暇」制度と桑名市在住者への住宅手当支給による新規学卒者の獲得を提案しました。続いて、「チームX」は専門知識教育の充実、グループ化したメンター制度、そして褒め方教育による従業員のモチベーション向上を提案しました。これらのプレゼンテーションに対して、柘植様と生駒様からは次のようなコメントをいただきました。
ダイヤのAのプレゼンについては、配付資料がカラー印刷である点は評価できるがやや見にくい、プレゼン冒頭の枕で目的?提案理由を明示してほしかった、住宅手当についてもう少し掘り下げた説明がほしかった、なんでも休暇と有給休暇の差違を明確にすべきであった、データを踏まえたことは評価できるが自分たちで集めた一次データであれば尚良かった、今少し若々しさを出しても良かった、模倣されにくいエイベックスならではの提案をしてほしかった等の意見が寄せられました。
他方、チームXのプレゼンについては、チームメンバーの衣装が統一されていた点が良かった、練習の努力が伺えプレゼンの流れは優れていたがプレゼンの方法にはまだ工夫の余地がある、なぜ2年目社員による教育なのか根拠が不明、メンター制度の名称を工夫した方が良い、褒め方教育はすでに実践している、客観的な数値を挙げたプレゼンであればより説得力を増す等の意見が寄せられました。
これとは別に、両チームに対して、より積極的に情報を取りに行く姿勢が必要であるとのアドバイスがありました。今後の卒論研究はもとより、社会人として働いて行くにあたっても有意義な言葉だと思われます。このアドバイスに限らず、キャリア特論の授業や企業実習で得られた知識や気づきを活用して、残された学生生活をより充実したものにしていってください。