PROJECT SUMMARY
どんなプロジェクト?
愛知県瀬戸市の“菱野団地”は、建築家?黒川紀章氏の設計により、1970年代に開発が進んだ大型の住宅団地です。近年、高齢化や老朽化の進行を受けて、団地をとりまく地域の再生が目指されています。
2020年度、新たなまちづくりの方向性を見出す住民参加型のワークショップが行われ、理工学部建築学科の谷田 真 准教授がファシリテーターとして参画。そこで固まった構想をもとに、2021年度に団地内の空き店舗を利用した交流の場ともなる拠点づくりをすることに。谷田研究室においてハードとソフト両面のデザインが進められ、学生たちもゼロベースから関わりました。
ゼミでの検討を経て、木製の箱型のモジュールを組み合わせて様々な用途に合わせられるアイデアに決定。さらに、モジュールの製作過程で、地域住民や他大学の学生も巻き込んだワークショップとDIYを実施することに。モジュールを活用したアイデアを考え、実際に形にする活動に、谷田研究室の3年生たちが参加しました。
まちの人たちを巻き込み
広がっていくアイデア。
谷田研究室が考えたモジュールをベースに、必要なものを考案し、自分たちで作り上げる。瀬戸市の呼びかけにより、名城大学、南山大学、愛知工業大学の学生たちと、地域の活性化に取り組む“未来の菱野団地をみんなでつくる会”、通称“みんなの会”のみなさんが集まり、アイデアを出し合いました。テーブル、ベンチ、収納グッズ、照明、看板、遊び道具。基本のモジュールとも調和する箱型のアイテムが考え出されていきます。それぞれの製作を担当するチームが結成され、谷田研究室のメンバーも分かれて参加しました。
「ゼミで考えていたモジュールをどのように使うか、新しいアイデアがたくさん出てきて面白いなと感じました。谷田研究室だけで考えていたら作らなかったものもあると思います。私はパズルで遊べるモジュールのチームに参加しました。子どもたちが遊んでくれているのを見てみたいです」と大嶋さんは語ります。
菱野団地で感じられた
地域のリアルと住民の熱意
みんなの会の大人と学生たち、学生同士のチームも違う大学のメンバーが一緒になって作業に取り組みました。初対面のメンバーも多い中、最初はぎこちなかったコミュケーションも、次第にスムーズに連携が取れるように。製作最終日には、どのチームもテキパキと作業を進め、アイテムを完成させました。自分たちの作ったものを使う、地域の人たちとの触れ合いからも気づきを得られたようです。
「実際に菱野団地へ来てみて、どんな場所に関わるのか深く理解できたと思います。お年寄りが多くて、広場で遊ぶ子どももいて、地域を盛り上げようと活動している人もいる。これから先、まちの人たちにどんな風に使ってもらいたいか具体的なイメージを持って、プロジェクトに関わっていきたいです!」と中原さん。
「DIY以前はずっと研究室の中でどんな空間にしようかと考えてきました。今回、地域の方や他大学の学生たちと一緒に製作してみて、いろんな人が関わることで生まれる勢いを感じられました」という羽場さん。
団地に起きた変化は
住民の喜びにもつながる。
多くの学生がDIYに参加し、菱野団地に新たな動きが生まれました。殺風景だった空き店舗が賑わっている。そんな様子を喜ぶ地域の人の声も聞かれるそうです。瀬戸市役所の方も、「まちの外からやってきた学生のみなさんが活動を通して、この場所に愛着を持ってもらえたら嬉しい。一生懸命に取り組んでもらえてよかった」と微笑みます。
「こうしたDIYに初めて参加して、場づくりの観点からもいい勉強になりました。私たちの作ったものが、この場所に馴染んでいって、何年も使われ続けたらいいなと思います」と早津さん。
NEXT STEP
拠点の完成、活用に向かって。
DIY完了後も、谷田研究室は菱野団地のプロジェクトへの関わりが続いています。今回出来上がったアイテムも含めて、どんな空間が完成するのでしょう。さらに、完成した拠点が今後どのように活用されていくのかも注目です。学生とまちの考え、形にしたアイテムと空間がまちにどんな変化を生み出すのか。実践の経験を積みながら、学びを深めています。