昨年に続き第二回目となった今回のフォーラム。産?官?学の枠を超えた共創を推し進めるための極意を学ぶ機会として、3名のゲストスピーカーによる講演に加え、名城大学社会連携センターPLATの事例報告も行いました。
最初に登壇したのはオムロン株式会社のイノベーション推進本部 竹林一氏。竹林一氏はセンシングデータ(IOT、IT技術を活用したデータ)流通市場の創造をゼロから立ち上げるプロジェクトに産?官?学の多様な連携を図りながら取り組む共創の第一人者。イノベーションとは何かといった話題から、竹林氏が実践するイノベーションを生み出すための顧客関係、共感を生む“will”の大切さ、共創を実現するための組織マネジメントについてなど、先駆者ならではの極意をお話しいただきました。笑いを交えながらの興味深い講演に、会場の皆が引き込まれました。
次に登壇したのは名城大学社会連携センターの山本剛毅氏。名城大学は2017年4月に社会と大学をつなぐプラットフォームとして「社会連携センターPLAT」(以下PLAT)を設立。これまでに187件のプロジェクトを立ち上げ、1,292人の学生がプロジェクトに参加しました。その中からいくつかの事例を上げ、PLATが共創を生み出すために行なっている取り組みを紹介しました。 「学内外のニーズを聞く窓口となること」、「共創を生むスペースの運営」、そして「フォーラム等のイベント運営」。この3つをベースに、今後も学生の実践的な学びの場をつくっていくことを宣言しました。
3人目の登壇者は奈良県生駒市役所の大垣弥生氏。大阪のベッドタウンとして発展してきた生駒市は、急速に高齢化が進む中、いかに持続可能なまちをつくるかが課題となっています。大垣氏はシティプロモーション担当者として、まちの魅力づくり、ファンづくりに注力してきました。その中で、利便性や行政施策をPRするだけではなく、「まちに関わること=楽しい」を実現する必要性、そのために行政の固定概念を取っ払って住民に働きかけ、いかに参画者を増やすかという実践的なお話をしていただきました。
最後は株式会社ロフトワークの松井創氏に登壇いただきました。クリエイティブに関わるさまざまな事業を展開し、世の中に新しい価値を生み出すロフトワーク。最近ではパナソニック、カフェカンパニーとの3社コラボで渋谷に誕生した実験空間「100BANCH」が話題を呼んでいます。
松井氏は「100BANCH」の発起人であり、“100年先をつくる100のプロジェクト”をテーマに多様なプロジェクトを100BANCHから発信してきました。ユニークなプロジェクトをどう実現して広めていったのか、そして未来は“will”からつくられるという考えを語っていただきました。
事例報告の後にはパネルディスカッションが行われました。人間学部人間学科の水尾衣里教授が司会を務め、3名のゲストスピーカーに加えて、理工学部情報工学科の鈴木秀和准教授が参加しました。
水尾衣里教授は大学内外を巻き込み、共創を生み出してきた連携事業の第一人者です。また鈴木秀和准教授は大学で教える情報工学とIT業界で起こっている技術革新のギャップを解決したいと、学外からIT分野で活躍するエンジニアを招いたり、ハッカソンイベントを開催するなど、学生に実践的な体験型学習の場をつくることに尽力しています。
ディスカッションでは名城大学からより多くの共創を生み出すために必要な極意ついて考えました。水尾衣里教授からゲストスピーカーへ共創を進めるための仲間づくりや組織マネジメントについて問いかけがあり、ゲストからは突破力を磨くこと、キーマンを見つけることの重要性、そしてこれからの時代に向けて大学組織もアップデートしていく必要があることなどが語られ、たくさんのヒントをもらうことができました。
ディスカションを受けて、水尾衣里教授と鈴木秀和准教授はこれから大学内部にも共創の輪を広げ、仲間づくりをしていく決意を新たにしました。今回のフォーラム全体のキーワードとなったのは“will”。最後は登壇者と会場の参加者みんなで“私のwill”を考えてカードに記入し、フォーラムを締めくくりました。
閉会後は「ムー ガーデン テラス」に移動し、懇親会を開催。名城大学の学生がこれまでの共創プロジェクトを発表するポスターセッションなどが行われました。フリータイムには参加者同士の交流も活発に行われ、今回のフォーラムが名城大学の社会連携の動きに、新しい風を起こしてくれることを期待できるものとなりました。